ハイリスク妊娠中に女性のホルモン値を検査することは、女性とその出生児に対する利益を示していない。 胎盤は、妊娠中に子宮内の胎児に栄養を供給する。妊娠中の女性のホルモン値を検査することにより、胎盤が十分機能しているか、胎児が期待通り発育しているか示されると考えられている。(ホルモンとは体内で産生される自然な化学物質である。)1件の試験(622名の女性)の本レビューでは、ハイリスク妊娠でのエストリオール値測定は、妊娠アウトカムに影響しなかったというある程度のエビデンスを認めた。
入手可能な試験データでは、ハイリスク妊娠におけるエストリオール推測値の使用は支持されなかった。入手可能な1件の小規模試験では、有益な効果を除外する検出力はないが、分娩前の胎児評価において生化学検査はバイオフィジカルテストに取って代わられたため、おそらく歴史的な重要性はあると考えられる。
有害な胎児アウトカムの予測と、それによる回避を目的にハイリスク妊娠において1960~1970年代には、胎盤機能または胎児-胎盤機能の生化学検査が広く用いられた。
ハイリスク、ローリスクまたは任意抽出の妊娠における胎盤機能生化学検査の実施効果を評価すること。
Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年5月10日)を検索した。
妊娠での胎盤機能生化学検査の使用を無使用と比較しているランダム化比較試験(RCT)または準ランダム化比較試験。
レビューアが試験の質を評価し、データを抽出した。
質の不良な1件の採択条件に合致した試験を同定した。血漿エストリオール値測定を受けた622名のハイリスク妊婦を対象としていた。病院記録番号に基づいて(選択バイアスの付随リスクあり)女性を、エストリオールの結果を明らかにした群、または結果を明らかにしていない群に割り付けた。2群間に、周産期死亡率[相対リスク(RR)0.88、95%信頼区間(CI)0.36~2.13]、および計画分娩(RR 0.97、95%CI 0.81~1.15)について明らかな差はなかった。