子癇がある女性に対する硫酸マグネシウムは、ジアゼパムと比較して、母体死亡や痙攣発作の再発のリスク比を低下させる。
子癇は子癇前症と関連した痙攣発作の発生であり、稀であるが、重篤な妊娠合併症である。多数の様々な抗痙攣薬が子癇発作をコントロールし、更なる発作を予防するために用いられている。
本レビューの目的は、子癇がある女性のケアに用いられる場合の硫酸マグネシウムの効果をジアゼパムと比較・評価することであった。他のコクラン・レビューにおいて、フェニトインおよび遮断カクテルと硫酸マグネシウムが比較されている。
Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年9月30日)とCENTRAL(2010年第3号)を検索した。
子癇の臨床診断がある女性を対象として、硫酸マグネシウム(静脈内投与か筋肉内投与)およびジアゼパムを比較しているランダム化試験。
2人のレビューアが独自に評価し、データを抽出した。
1,396例の女性を対象とした7件の試験を選択した。3件の試験(1,030例の女性)は質が良かった。ジアゼパムと比較して、硫酸マグネシウムで母体死亡(7件の試験;1,396例の女性;リスク比(RR)0.59、95%信頼区間(CI)0.38~0.92)および痙攣の発作の再発(7件の試験;1,390例の女性;RR 0.43、95%CI 0.33~0.55)が少なかった。母体の罹病率の他の指標に明らかな差はなかった。周産期死亡率(4件の試験;788例の乳児;RR 1.04、95%CI 0.81~1.34)または新生児死亡率(4件の試験;759例の乳児;RR 1.18、95%CI 0.75~1.84)に明らかな差はなかった。硫酸マグネシウム群において、1分後アプガースコア<7(2件の試験;597例の乳児;RR 0.75、95%CI 0.65~0.87)や5分後アプガースコア<7(RR 0.70、95%CI 0.54~0.90)の新生児数が少なく、出生場所で挿管を必要としたと思われる新生児数が少なかった(2件の試験;591例の乳児;RR 0.67、95%CI 0.45~1.00)。特別ケア育児室入院(4件の試験;834例の乳児;RR 0.91、95%CI 0.79~1.05)に差はなかったが、入院期間が7日を超えた乳児数は硫酸マグネシウム群でより少なかった(3件の試験;631例の乳児;RR 0.66、95%CI 0.46~0.96)。