カフェインは早産児の無呼吸に対してテオフィリンと同等の短期減少効果を有し、忍容性が高く、投与が容易であるというエビデンス(証拠)が存在する。
無呼吸とは、呼吸が20秒よりも長く停止する状態を指す。無呼吸は(妊娠34週より前に生まれた)早産児に繰り返し発生する。持続性の無呼吸は脳や臓器の発達に有害である。メチルキサンチン類(テオフィリンやカフェインなど)は呼吸努力を刺激すると考えられている薬物で、無呼吸を減らすために使用されている。試験に関するこのレビューでは、カフェインはテオフィリンと同等の効果を有するが、治療効果が得られる投与量と有害性が認められる投与量の差はカフェインの方が大きいことが明らかになった。カフェインの方が吸収性に優れており半減期が長いため、投与回数は1日1回でよい。
カフェインは無呼吸または徐脈に対してテオフィリンと同様の短期効果を有すると考えられるが、カフェインはテオフィリンと比較していくつか治療上の利点を有する。有害性発現率はテオフィリンの方が高い。高用量カフェインが超早産児に対して高い効果を示す可能性については、ランダム化比較臨床試験によってさらに評価する必要がある。
反復性無呼吸は、主に在胎期間がきわめて短い早産児に多く発生する。効率的な呼吸が損なわれるため低酸素血症や徐脈を生じ、陽圧換気などによる蘇生を要するほど重症化する場合がある。無呼吸およびその後遺症を予防するための呼吸刺激には、2種類のメチルキサンチン(カフェインおよびテオフィリン)が用いられている。
無呼吸のリスクに対するカフェインの効果をテオフィリンと比較評価すること、また、反復性無呼吸を呈する早産児に対する機械的人工換気の効果を評価すること。
Cochrane Neonatal Review Groupの標準検索法を用いた。以下の電子データベースを2009年8月に検索した:Oxford Database of Perinatal Trials、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、コクラン・ライブラリ2009年第2号)、MEDLINE(1966年〜2009年4月)およびEMBASE Drugs and Pharmacology(1990年〜2009年4月)、相互参照を含む前版までのレビュー。
早産児の無呼吸の治療についてカフェインとテオフィリンを比較し、無呼吸発現率に対する効果を報告したランダム化試験および準ランダム化試験。
各著者が適格性および試験の質を評価し、独立してデータを抽出し、差異を比較・分析した。追加情報については研究著者に問い合わせた。
計108例の乳幼児が参加した5件の試験を対象とした。これらの小規模試験の質は大部分がfairからgoodであった。投与1〜3日後(2件の研究にもとづく)または投与5〜7日後(1件の研究にもとづく)では、カフェインとテオフィリンの治療不成功率に差異は認められなかった(無呼吸または徐脈の低下は50%未満)。また、投与1〜3日後(5件の試験にもとづく)または投与5〜7日後(4件の試験にもとづく)では、カフェイン群とテオフィリン群で無呼吸発現率の平均値に差異は認められなかった。
投与量の変更につながる頻脈または食物不耐性によって示される有害作用の発現率は、カフェイン群の方が低かった(要約相対リスク値0.17、95%CI 0.04〜0.72)。3件の研究では一貫性のある結果が報告された。
いずれの試験でも換気の使用に関して報告されておらず、発育および発達に対する影響を評価するためのデータが入手できなかった。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.25]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。