このレビューの目的は何か
個人に応じた退院計画が、退院の時期が遅れることの減少、再入院の減少、患者の健康状態の改善によって、提供されるヘルスケアの質を向上させるかどうかを検証した。また、介入にどれくらいの費用がかかるのかも検証した。これらを検証するために、関連する全ての研究を集めて解析した。本レビューは、初回から5回目の更新である。
要点
個人に応じたの退院計画を立てて退院する場合、入院期間はおそらく少し短縮され、退院後に入院する可能性も少し低くなる可能性がある。患者の健康状態や、受けたケアに対する患者の満足度に与える影響については、ほとんどエビデンスがない。退院計画にかかる費用は不明である。
レビューで検討された内容
退院計画とは、退院前に患者の健康と社会的ケアのニーズを評価し、病院から自宅あるいは他の場所へ適切な時期に移れるように支援し、退院後のサービス体制を改善するための個別計画をたてることである。
レビューの主な結果は何か
個人に応じた退院計画と標準的な退院ケアを比較した33件の試験が特定された。個人に合わせた退院計画は、おそらく入院期間をわずかに短縮し、病状が悪化して入院する再入院率をおそらくわずかに下げ、患者の満足度を高める可能性があることが示された。健康状態や、医療サービスにおける退院計画にかかる費用については、ほとんどエビデンスがない。
このレビューの更新状況
2021年4月までに出版された研究を検索した。
《実施組織》堺琴美 杉山伸子 翻訳[2022.03.09]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD000313.pub6》