腹壁減圧法とは、妊婦の腹部を気密性のフレームで密閉し、断続的に陰圧をかける処置である。胎盤への血流が促進され、分娩中には疼痛を緩和すると考えられている。健康妊婦に用いた腹壁減圧法に関する3件の研究のレビューでは、母体高血圧および新生児の状態とその後の知的発達に関して効果を認めなかった。さらなる研究が必要である。
正常妊娠において腹壁減圧法の使用を支持するエビデンスはなかった。分娩中および合併症のある妊娠中での腹壁減圧法の使用について検討するさらなる研究が必要である。
腹壁減圧法は分娩中の疼痛緩和法として開発された。妊娠中の合併症に対しても使用されており、健康な妊婦において、胎児の健康状態および知的発達の促進を目的として使用される。
本レビューの目的は、子癇前症による入院、胎児発育、周産期罹病率と死亡率、小児期発達などの妊娠アウトカムに対する予防的腹壁減圧法の効果を評価することであった。
Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年2月2日)を検索した。
健康妊婦を対象に、腹壁減圧法を偽減圧法または無治療と比較しているランダム化試験。
2名のレビューアが適格性および試験の質を評価した。
3件の研究を選択した。低出生体重[リスク比(RR)0.69、95%信頼区間(CI)0.27~1.77]および周産期死亡率(RR 2.47、95%CI 0.77~7.92)について腹壁減圧法群とコントロール群とに差はなかった。子癇前症による入院、アプガースコア、小児期発達における差はなかった。
《実施組織》Minds 江藤宏美監訳、[2012.10.31]
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《CD001062》