免疫療法は喘息症状を軽減し、喘息薬の使用を減じ、気道過敏性を改善する。1件の試験では吸入ステロイドに匹敵する利益がある可能性を見いだした。局所あるいは全身への有害作用(例えば、アナフィラキシー)が起こる可能性を考慮しなければならない。
アレルゲン特異的免疫療法は長年議論のある喘息に対する治療である。臨床的関連性のあるアウトカムに対する有益な効果がランダム化比較試験で証明されているが、重篤で時には致死的なアナフィラキシーのリスクがある。職業団体の推奨では、注意を必要とする許容から完全却下まで様々である。新しいアレルゲン製剤や投与方法に対する興味が高まっていることから、喘息に対するアレルゲン特異的免疫療法のシステマティック・レビューを更新した。
本レビューの目的は喘息に対するアレルゲン特異的免疫療法の効果を評価することであった。
2005年までのCochrane Airways Group Trials Register、Dissertation Abstracts、およびCurrent Contentsを検索した。
喘息を治療するための様々な形態のアレルゲン特異的免疫療法を用い、少なくとも1つの臨床的アウトカムを報告しているランダム化比較試験。
3人のレビューアが、独自に研究が選択に適格であるかどうか評価した。2人のレビューアが独自に研究の質評価を行った。
88件の試験を選択した(13件の新しい試験)。内訳は、家ダニアレルギーに対する免疫療法の試験42件、花粉アレルギーの試験27件、動物のふけアレルギーの試験10件、クラドスポリウム属カビアレルギーの試験2件、ラテックスアレルギーの試験2件および複数のアレルゲンを調べた試験6件であった。割りつけの隠蔽化が明らかに適切であったと評価されたのはこれらの試験のうち16件においてのみであった。多数の比較に有意な異質性が存在した。全体では、免疫療法後、喘息症状や投薬の有意な減少と気道過敏性の改善が認められた。喘息症状スコアが有意に改善し(標準化平均差-0.59、95%信頼区間(CI)-0.83~-0.35)、1件の喘息症状の悪化を回避するには、免疫療法で3例の患者(95%CI 3~5)を治療する必要があったと思われる。全体では、1件の投薬増加の必要性を回避するには、免疫療法で4例の患者(95%CI 3~6)を治療する必要があったと思われる。アレルゲン免疫療法はアレルゲン特異的気道過敏性を有意に抑制し、非特異的な気道過敏性もいくらか軽減した。肺機能に対して一貫した効果は認められなかった。16例の患者を免疫療法で治療する場合、1例の患者が局所的な有害反応を生じると予想される。9例の患者を免疫療法により治療する場合は、1例が全身への反応(あらゆる重症度)を生じると予想される。