根底にある椎間板疾患の生涯の自然史に与える正の効果または負の効果については依然として明らかではないが、腰椎椎間板脱出に起因する坐骨神経痛を有する患者を慎重に選択した外科的椎間板切除では、保存的管理よりも早く急性発作から解放される。顕微鏡視下椎間板切除の結果は、概して経皮的椎間板切除術の結果と同等であった。その他の低侵襲性手技に関するエビデンスは依然として明らかではない(今では広く利用されていないキモパパインを用いた化学的髄核融解術は除く)。
椎間板脱出は腰部疾患の5%を占め、最も多い手術原因の1つである。
腰椎椎間板脱出治療のための外科的介入の効果を評価する。
過去5年間のCochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、PubMed、Spineおよび主要な脊椎学会会議の抄録を検索した。また、検索した論文の参照文献リストもチェックし、専門家に問い合わせた。2007年1月1日までの全データを含めた。
腰椎椎間板脱出の外科的管理に関するランダム化試験(RCT)および準ランダム化試験(QRCT)。
2名のレビューアが試験の質を評価し、発表論文からデータを抽出した。必要に応じて追加情報を著者に求めた。
1999年の本レビュー第1版以降の新たな17件の試験を含む40件のRCTおよび2件のQRCTを同定した。初期の試験の多くはある種の化学的髄核融解術に関するものであったが、最近の研究の大半は椎間板切除の異なる術式を比較したもの、または硬膜外の瘢痕形成を低減するある種の膜の使用を比較するもののいずれかであった。椎間板脱出に対して手術が有益であるかどうかを知ることは極めて重要であるにもかかわらず、4件の試験のみが椎間板切除と保存的管理とを直接比較しており、これらの結果は決定的というよりはむしろ示唆的なものである。しかし、その他の試験は、椎間板切除の方が化学的髄核融解術よりも臨床的なアウトカムが良好であり、化学的髄核融解術の方がプラセボよりも良好であることを示している。顕微鏡下椎間板切除の結果は概して標準的な椎間板切除の結果と同等であった。臨床的なアウトカムに及ぼす影響については限られたエビデンスしかないが、硬膜を覆う中間挿入ゲル(5件)および脂肪(4件)に関する最近の試験により、瘢痕形成が低減されることが示されている。その他の経皮的椎間板切除の術式に関しては確固たる結論を導き出すための十分なエビデンスはない。レーザー椎間板切除術に関する3件の小規模RCTでは、その有効性を示す決定的なエビデンスは得られなかった。コブレーション治療または経椎管孔内視鏡下椎間板切除術について発表されたRCTはない。