焦点性てんかんに対するレベチラセタムのアドオン療法

このレビューは2001年に初版が発行され、Cochrane Database of Systematic Reviews Issue 9, 2012のコクラン・レビューの更新版である。

背景と目的

てんかんは、世界で7,000万人以上が罹患しているといわれている、最も一般的な脳の疾患の1つである。レベチラセタムは、世界中で広く使用されている抗てんかん薬である。本レビューでは、薬物治療に反応しにくい焦点性てんかん患者において、通常の治療に追加する治療法として使用した場合の有効性に関する最新のエビデンスをまとめた。

方法

エビデンスは2018年11月26日現在のものである。レベチラセタムと偽薬(プラセボ)のいずれかに無作為に割り付けられた14件の研究が対象となり、合計2,455人(うち296人は小児)が参加した。全員が通常の薬を継続して服用していたため、抗てんかん薬を服用していない人はいなかった。特に、レベチラセタムを服用した場合、プラセボを服用した場合と比較して、発作の頻度が50%以上減少した人が何人いるかを調べた。レベチラセタムの効果に対する確信を深めるために、これらの結果を組み合わせた。

主な結果

レベチラセタムは、成人および小児において、発作の頻度を有意に減少させた。レベチラセタムに反応したのは、小児では半数強、成人でも34%であった。これらの反応は、プラセボ群よりもはるかに高く、レベチラセタムがプラセボよりも優れていることを示した。最も効果的な投与量は、1,000mgから3,000mgのレベチラセタムであった。レベチラセタムの投与量が1,000mg増えるごとに、痙攣(発作)を抑える可能性が40%向上すると考えられた。それぞれの研究で結果が大きく異なっていた。そのため、レベチラセタムが効いていることはわかったが、その効果が実際にどのくらい大きいのかを確かめることは困難であった。

レベチラセタムは、成人および小児において、おおむね良好な忍容性を示した。ほとんどの人が、試験期間中にレベチラセタムの投与を完了することができた。レベチラセタムの副作用はほとんどなかった。レベチラセタムとの関連性が有意に高かった唯一の副作用は、傾眠(眠気)であった。しかし、レベチラセタムを服用している一部の小児の行動が著しく悪化することもあった。

全体として、他の薬で効果が不十分な焦点性てんかんの患者に、通常の抗てんかん薬にレベチラセタムを追加することは妥当だと考えられる。

訳注: 

《実施組織》 冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2021.11.04]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD001901.pub3》

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