慢性喘息に対するベクロメタゾンとプラセボの比較

著者の結論: 

本レビューは慢性喘息治療におけるCFC-BDPとHFA-BDPの有効性を定量化し、その使用を強く支持している。現在の喘息ガイドラインは個々の患者の反応によって用量漸増を推奨しているが、 論文として発表されているデータからは軽度から中等度の喘息患者において1日400gを上回る用量漸増の裏付けはほとんどない。重度の喘息患者における用量-反応に関する結論を導くにはデータが不十分である。

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背景: 

吸入ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)は、吸入ブデソニドと共に、何年にもわたって喘息の抗炎症療法の主流であった。喘息に対する多様な新しい予防療法が可能になりつつあり、BDPはクロロフルオロカーボン(CFC)を使用していないヒドロフルオロアルカン-134a(HFA)を噴射剤とする剤型に変更された。

目的: 

本レビューでは、(1)慢性喘息治療においてCFCおよびHFAの両者を噴射剤とするBDPの有効性をプラセボと比較し、(2)慢性喘息治療におけるBDPの用量反応関係の可能性を探究し、(3)新しい喘息療法の評価基準としてBDPの有効性に対して最も良好な推定を得ることを目的とした。

検索戦略: 

電子的検索は2003年1月現在とした。

選択基準: 

小児と成人において、慢性喘息治療におけるCFC-BDPまたはHFA-BDPをプラセボと比較する最低4週間のランダム化並行群間デザインの試験。2名のレビューアが別々に、レビューに含むべき論文と試験手法の質を評価した。

データ収集と分析: 

1名のレビューアがデータを抽出した。著者らに問い合わせて欠落情報を明らかにした。データはRevMan Analyses 1.0.2で解析した。

主な結果: 

6542例の参加者を含む60件の研究が選択基準を満たした。CFC-BDP(57件の試験): 非経口ステロイド薬で治療を受けた患者において1日400g以下の用量のCFC-BDPは、プラセボに比して、努力呼気1秒量(FEV1)360ml(95%CI 260~460)、FEV1(予測%)WMD 12.41%(95%CI 8.18~16.64)および朝のピークフロー値(午前PEF)WMD 35.95L/min(95%CI 27.85~44.04)など多くの有効性指標のベースラインからの著明な改善がみられた。BDPはプラセボに比して、 2刺激薬の一時的緊急使用を1日-2.32パフ減らし(95%CI -2.55~-2.09)、喘息増悪による試験中止の相対リスク(RR)を0.25減らした(95%CI 0.12~0.51)。治療期間の長さに基づいたサブグループ解析から、十分な治療効果を実現するのに4週間を超える治療期間が必要であるとする提案が支持される。経口ステロイド薬で治療を受けた患者において、BDPの使用により経口プレドニゾロンの使用量が有意に低下し、WMDは1日-4.91mg(95%CI 1日-5.88~-3.94mg)、経口ステロイド治療中止の可能性が増大し、RR は8.02(95%CI 3.23~19.92)であった。HFA-BDP(3件の試験): 非経口ステロイド薬で治療を受けた患者においてHFA-BDPは、FEV1および朝晩のPEFの改善、FEF25~75%、喘息症状と 2刺激薬の日常消費量の減少においてプラセボよりも有意に有効であった。このような顕著な効果のアウトカムは、6ヵ月治療した後に明らかであった。経口ステロイド薬で治療を受けた患者において、HFA-BDPはFEV1と午前のPEFを有意に改善した。これらのアウトカムに対する要約値を推定した結果、高レベルの不均一性が示唆され、今回観察されたばらつきは研究目的の多様性が原因ではないかと考えられる。報告された有害事象に関するデータには限界がある。

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