溶解カクテルと比較して、子癇のある女性に対して硫酸マグネシウムは母体死亡、更なる発作および重篤な母体罹病(呼吸抑制、昏睡、肺炎)のRRを低下させた。硫酸マグネシウムは子癇のある女性に対する選択の抗痙攣薬である;溶解カクテルの使用はやめるべきである。
子癇(子癇前症に関連した発作の発生)は稀であるが、重篤な妊娠合併症である。多数の様々な抗痙攣薬が子癇発作をコントロールし、更なる発作を予防するために用いられている。
本レビューの目的は、子癇のある女性のケアに用いられる場合の硫酸マグネシウムの効果を、溶解カクテル(通常、クロルプロマジン、プロメタジン、ペチジン)と比較・評価することであった。他のコクラン・レビューでは硫酸マグネシウムはジアゼパムやフェニトインと比較されている。
Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年7月)とCochrane Central Register of Trials(コクラン・ライブラリ2010年第2号)を検索した。
子癇の臨床的診断を有する女性を対象として、硫酸マグネシウム(静脈内投与または筋肉内投与)と溶解カクテルを比較しているランダム化試験。
2名のレビューア(L DuleyとD Chou)が試験の質を評価し、データを抽出した。
本レビューには平均的な質の3件の小規模試験(合計397例の女性)を選択した。硫酸マグネシウムで溶解カクテルよりも、母体の死亡が少なく(リスク比(RR)0.14、95%信頼区間(CI)0.03~0.59;3件の試験、397例の女性)、更なる発作を予防するのに優れていた(RR 0.06、95%CI 0.03~0.12;3件の試験、397例の女性)。また、硫酸マグネシウムで呼吸抑制(RR 0.12、95%CI 0.02~0.91;2件の試験、198例の女性)、昏睡(RR 0.04、95%CI 0.00~0.74;1件の試験、108例の女性)、肺炎(RR 0.20、95%CI 0.06~0.67;2件の試験、307例の女性)がより少なかった。胎児死亡に対するRRに明白な差はなかった(RR 0.35、95%CI 0.05~2.38、ランダム効果;2件の試験、177例の乳児)。