青年期の禁煙を支援する禁煙プログラムはあるか?

背景

世界では、毎日8万人から10万人の若者が喫煙を開始している。多くの青少年向けタバコプログラムは、10代の若者がタバコを吸い始めるのを防ぐことに焦点を当てているが、既に喫煙している者の禁煙を支援することを目的としたプログラムもある。これらのプログラムが若年者の6ヶ月以上の禁煙に役立つかどうかを検討した。検索結果は2017年6月時点のものである。

研究の特徴

10代の若者の禁煙支援の方法に関する41件の研究(合計約13,000人の研究参加者)を確認した。これらの研究は質にばらつきが認められ、1対1のカウンセリング、グループでのカウンセリング、コンピュータやテキストメッセージを使用した方法、あるいはこれらを組み合わせた方法など、様々な禁煙方法を検討していた。4つの研究では、ニコチンパッチなどの薬物治療が行われていた。ほとんどの研究は、学校において参加者を募り、29の研究は北米で実施されていた。

主な結果

プログラムの中には、特にグループカウンセリングを用いたものや、様々なアプローチを組み合わせたものなどにおいて、効果が期待できるものもあったが、特定の方法が若者の禁煙に効果的であるという強い証拠は認められなかった。研究間で禁煙の測定方法が異なっており、また、多くの研究では、結果を広く適用できると確信できるほど十分な人が参加していなかった。ニコチン代替療法やブプロピオンなどの薬物療法は、青年期に成功した研究は認められず、いくつかの有害事象が報告されているが、これらの事象は概して軽度であり、知見は参加者数の少ない研究に基づいていた。これらの知見に基づくと、現在のところ、何も支援を受けずに禁煙を試みるよりも成功率の高い青年期向けのプログラムを特定することは出来なかった。

エビデンスの質

このレビューにおいて、全ての結果(アウトカム)についてエビデンスの質は低(low)、或いは、非常に低(very low)であった。これは、いくつかの研究の質に問題があること、いくつかのアウトカムについて研究数や参加者数が少ないこと、研究間で結果にばらつきがあることが原因であった。

訳注: 

《実施組織》星佳芳 翻訳、清原康介 監訳[2021.06.29]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《 CD003289.pub6》

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