喘息に対するプライマリ・ケア中心の診療所

喘息とは、笛声音、咳嗽、および呼吸困難を成人および小児に起こす一般的な病気である。喘息は世界で多くみられるようになっており、特に高所得国で増加している。そのような国々では、プライマリ・ケア中心の喘息診療所により喘息診療を行う傾向がみられている。そのような診療所では、通常看護師が中心となり医師が援助する形での専門的かつ定期的な診療を組み込んでいる。しかしこれらの診療所の効果が高いかは不明である。 本レビューはこの問題を明らかにすることを目的とし、466名の参加者の計3件の研究を組み入れた。これらの研究では、以下のアウトカム(喘息のための緊急来院、喘息応急薬または予防薬の使用、生活の質指標)について、喘息診療所と一般開業医による臨床診療とに全体として差を認めなかったが、これらの結果について相当な不確実性が認められた。1件の研究では、コントロール群に比べて喘息診療所群において喘息による夜間覚醒の減少を認めたという所見が得られたが、報告された他の症状アウトカムに差はなかった。本レビューで認められた限定的なエビデンスを考慮すると、喘息診療所の有効性を評価するためさらなるエビデンスの必要性があると考えられる。

著者の結論: 

喘息プライマリ・ケア中心の診療所の有効性に関する限定的なエビデンスが認められたが、さらに良好な質の試験が実施されるまで確実な結論は出せない。

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背景: 

喘息とは、(笛声音、呼吸困難、胸部絞扼感、咳嗽のうち2つ以上の)症状を伴う可変性の気流閉塞があることと定義される。喘息は世界で多くみられるようになっており、特に高所得国で増加している。高所得国の一部では、喘息診療所を中心にしたプライマリ・ケアにより喘息診療を行う傾向がみられる。そのような診療所では、通常看護師が中心となり医師が援助する形での定期的で専門的な診療により、プライマリ・ケア内で積極的な喘息診療を行う。それには喘息登録簿に基づく患者の再診が組まれており、通常は教育、症状の診察、ガイドラインに基づく管理からなる。そのような診療所は特に英国などの国々で増加しているにもかかわらず、それらの使用を支持するエビデンスは不足している。本レビューは、喘息診療所の有効性に対するエビデンスを考察するため実施する。

目的: 

喘息プライマリ・ケア中心の診療所により実施される組織的喘息診療の有効性を検討すること。

検索戦略: 

Cochrane Airways Group Specialised Register of trials(最新の検索2011年12月)を検索し、その後追加された参考文献についてすべての主要な研究の参考文献リストをレビューした。

選択基準: 

コントロール群は一般開業医による通常の臨床診療を受け、喘息プライマリ・ケア中心の診療所は専用の時間枠内で実施され、医師または看護師との対面の相互作用を含む、並行群デザインのランダム化比較試験(RCT)を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に本レビューへの組み入れについて試験を選択し、すべてのデータ抽出と解析を実施した。不一致はすべて討議により解決した。

主な結果: 

466名の参加者を対象とした計3件の研究を選択した。大半のアウトカム(主要アウトカム:入院、あるいは緊急の来院を要する喘息の悪化、応急薬および予防薬の使用、生活の質;副次アウトカム:症状、労働損失時間および介入または通常ケアの中止)について、喘息診療所群とコントロール群に統計学的有意差はなかった。しかし、信頼区間はすべてのアウトカムについて広く、緊急の来院および労働損失時間の両方について研究間に相当な異質性が認められた。1件の研究(患者101名)は、喘息による夜間覚醒について検討し、通常ケア群に比べて喘息診療所群において当該症状の報告患者数が統計学的に有意に減少したという所見を示した(OR 0.31、95% CI 0.12~0.77)。副次アウトカムである経口投与のステロイドを要する発作を検討した研究はなかった。

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