レビューの論点
統合失調症および統合失調症様障害の治療として、音楽療法単独や音楽療法の併用はどのような効果があるのか?
背景
統合失調症および統合失調症様障害の特徴は、思考、感情、信念、認識に障害が見られることである。統合失調症の人々には、多くの場合、主に2種類の症状がある。声が聞こえるあるいは物が見える(幻覚)、奇妙な信念(妄想)をもつといった急性症状と、気分の低下やうつ、引きこもり、記憶の問題などの慢性症状である。音楽療法は、音楽体験を通して重篤な精神疾患のある人々が感情面および関係性の能力を改善できるよう支援する治療アプローチであり、言葉の使用だけでは困難なことがある問題に対処する。
エビデンスの検索
統合失調症または統合失調症様障害の人々を音楽療法かまたは標準療法に無作為化した2015年1月までの試験を検索した。可能性のある176件の試験を特定し、調査した。
エビデンスの特定
1215例が参加した18件の試験がレビュー要件を満たし、有益なデータが得られた。
現在入手可能なエビデンスの質は、低から中程度である。これらの試験の結果は、音楽療法が全身状態を改善し、音楽療法のセッション数が十分であれば、精神状態、(精神)機能、生活の質も改善する可能性があることを示唆している。
結論
音楽療法は統合失調症の人々の助けになると考えられるが、本レビューで特定された肯定的な効果を確定するためにはさらなる研究が必要である。そのような研究においては、特に音楽療法の長期的効果、提供された音楽療法の質および、音楽療法に関連するアウトカムを特に評価すべきである。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD004025】