イノシトールは栄養補助剤であり、抗うつ障害の治療剤として推奨されてきた。レビューアは、イノシトールのうつ病の治療における有効性について、現在得られているエビデンスでは明確になっていないと結論付けた。現在実施中の試験があり、それらによって不明確な点が減少すると考えられる。
現在、イノシトールのうつ病の治療における有効性については明確になっていない。現在実施中の試験により不明確な点が減少すると考えられる。
うつ病の治療には有効な介入が多くある。これらの治療の有効性は、イノシトールなどの補助療法を活用することでさらに高まる可能性がある。
1.うつ病治療におけるイノシトールの有効性を評価すること 2.イノシトールによる治療の有害作用と受容性を評価すること
The Controlled Trials Register(CCTR)、EMBASE、MEDLINE、LILACS、CINAHL、PSYNDEXおよびPsycLITのグループ検索の結果を取り入れたCochrane Collaboration Depression, Anxiety and Neurosis Controlled Trials Register(CCDANCTR)を検索した。関連性のある論文や感情障害に関する主な書籍の文献リストもチェックした。未発表の情報について、この分野の専門家や製薬会社に連絡した。
明確な基準に従って抑うつ障害の診断を受けた患者を対象とし、イノシトールを用いた単独投与または補助療法と、その他の抗うつ剤療法またはプラセボの代替療法を比較するすべてのランダム化比較試験を対象とした。
2名のレビューアが原本からそれぞれデータを抽出した。統計解析はReview Manager バージョン4.2.1を用いて実施した。
4件の試験が確認され、合計で試験参加者141名が組み入れられた。試験はいずれも二重盲検デザインの短期投与試験であった。これらの試験からは、治療効果に関する明確なエビデンスや、受容性が不十分というエビデンスは示されていない。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.1]
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