慢性創傷治療のための局所陰圧療法

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しばしば糖尿病や動脈疾患又は静脈疾患を伴う慢性創傷は一般的であり、罹患患者のウェルビーイングに大きな影響を与える。高圧酸素療法(HBOT)は、他の治療手段に反応しない創傷への酸素供給を増やすよう設計された治療である。HBOTでは、患者は特別に設計されたチャンバー(深海潜水士が浮上後に呈する、圧力の問題に使用されるようなもの)内で純酸素を呼吸する。 本レビューでは、HBOTが糖尿病性足潰瘍の治癒する機会を向上し、慢性足潰瘍を有する糖尿病患者の大切断の施行数を減らす可能性がありそうだということを示すランダム化試験の内容を更新した。さらに、本治療は下肢の静脈の疾患により生じる創サイズを減少する可能性があるが、本レビューでは動脈性又は褥瘡による血液供給の不足のため生じる他の創傷に対する効果について、確定又は却下するエビデンスは得られなかった。

著者の結論: 

糖尿病による足潰瘍の患者では、HBOTは短期間では有意に潰瘍の治療を改善したが、長期間では改善を認めず、試験には研究デザイン及び又は報告における様々な欠陥が認められ、結果に確信を持つことができない。慢性創傷患者におけるHBOTの効果を適切に評価するためにはより多くの試験が必要である。これらの試験は十分な検出力をもち、全てのバイアスが最小化されるようデザインされるべきである。

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背景: 

慢性創傷は一般的にみられ、QOLに重大な影響を与える健康上の問題を呈する。血液供給不良により創底の酸素化が不十分になるなどの多様な病理が組織破壊の原因となるだろう。高圧酸素療法(HBOT)は、創傷への酸素供給を改善することにより、治癒を促進することが示唆されている。

目的: 

下肢の慢性潰瘍治療のための補助的HBOTの利益及び有害性を評価する。

検索戦略: 

第1回目の本更新では、Cochrane Wounds Group Specialised Register(2012年1月12日検索)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2011年第4号)、Ovid MEDLINE(1950年~2012年1月第1週)、Ovid MEDLINE(In-Process & Other Non-Indexed Citations、2012年7月11日)、Ovid EMBASE(1980年~2012年第1週)及びEBSCO CINAHL (1982年~2012年1月6日)を検索した。

選択基準: 

HBOTを含む治療レジメンとHBOTを除く治療レジメン(偽治療あり、またはなし)の慢性創傷治癒に対する効果を比較したランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

レビューア3名が独立して、コクランの方法論を用いて該当する試験のバイアスのリスクを評価し、選択した試験からデータを抽出した。合意の得られない点は討議により解決した。

主な結果: 

9件の試験が包含された(参加者471名)。8件の試験(参加者455名)で糖尿病性足潰瘍の患者が対象とされていた。参加者140名を対象とした3件の試験のプールされたデータでは、HBOTを行った場合は、6週目において潰瘍治癒率の増加を認めたが[リスク比(RR)5.20、95%信頼区間(CI)1.25~21.66、P = 0.02]、この利益はより長期の追跡期間では1年目で明らかでなかった。大切断術率では統計学的に有意差は無かった(参加者312名を対象とした5件の試験のプールされたデータ、RR 0.36、95%CI 0.11~1.18)。1件の試験 (参加者16名)で静脈性潰瘍を検討し、6週目(創サイズの減少)及び18週目(創サイズの減少及び治癒した潰瘍数)のデータを報告しており、6週目においてのみで潰瘍の面積減少についてHBOTの有意な利益が示唆されていた[平均差(MD)33.00%、95%CI 18.97~47.03、P < 0.00001]。動脈性潰瘍及び褥瘡を検討した試験は同定されなかった。