成人の高血圧症に対する経口マグネシウム補充

本レビューでは、成人における原因不明の高血圧症治療にマグネシウムサプリメントの摂取が推奨可能かを検証した。545例を登録した12試験をレビューした。これらの試験では、マグネシウムサプリメントを偽薬(プラセボ)または無治療と比較し、8週間から6カ月後に血圧が測定された。試験の結果はかなり多様であった。いくつかの試験では、マグネシウムはプラセボよりもかなり大きく血圧値を下げたが、他の試験ではほとんど差が認められなかった。平均して、追加のマグネシウムを摂取した人々は、試験終了時に拡張期血圧がやや低下した。マグネシウムサプリメントの摂取による重篤な副作用を報告した試験はなかった。

しかし、レビューに含めたほとんどの試験は質が低く、結果に信頼性がないかもしれない。これらの試験は、高血圧症により起こり得る死亡、心臓発作または脳卒中等の結果を、マグネシウムサプリメントを摂取することにより軽減できるかどうか評価するには期間や規模が十分ではなかった。

本レビューでは、経口マグネシウムサプリメントが、成人の高血圧症を緩和するという頑健なエビデンスは見つからなかった。マグネシウムサプリメントが高血圧値を低下させるかどうか明らかにするための、より大規模かつ長期で質の高い試験の実施が必要である。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD004640.pub2】

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