急性虚血性脳卒中に対するプエラリン

レビューの論点

虚血性脳卒中患者に対するプエラリンの効果を評価すること。

背景

脳卒中は死亡および重篤な身体障害や能力障害を生じる原因となることが多い。プエラリンは、一般にクズとして知られる野生の多年草(学名: Pueraria lobata )の根から抽出した中薬(中医学の薬草療法)の一種であり、中国では急性虚血性脳卒中の治療に広く用いられている。過去の研究では強力な抗酸化作用と神経保護作用の可能性が暗示されたが、現在のエビデンスが、プエラリンの日常的な使用を推奨するための裏付けになるかどうかは依然として明らかではない。

試験の特性

2015年8月までの臨床試験を検索し、虚血性脳卒中患者に対するプエラリンに関するランダム化比較試験20件(対象者1,574例)を組み入れた。経過観察の終了時に死亡または薬物依存症を報告した試験は2件のみであった。それ以外の試験では患者の観察期間が1カ月未満であった。

主な結果

今回の更新版レビューでは新たに5件を追加して、対象者計1,574例のランダム化比較試験20件を組み入れた。追跡終了時に、プエラリンを使った治療による死亡または薬物依存症の減少は認められなかった。治療終了時にはプエラリンによる神経障害の改善があった。組み入れた試験には重篤な有害事象の報告はなかった。

エビデンスの質

試験方法の報告が不十分であり追跡期間も短かったため、エビデンスの質は低いと判断した。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD004955.pub3】

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