食道がん患者の飲み込み困難を軽減するための介入

レビューの論点

切除不能または手術不能な食道がん患者のほとんどに対し、緩和治療によって臨床的な有用性をもたらすことは非常に望ましいことである。しかし、嚥下障害(飲み込みの困難あるいは不快感)の改善や、生活の質(QOL)を向上させるための最適な緩和技術は確立されていない。

背景

嚥下障害は、切除不能または手術不能の食道がん患者においてよくみられる。嚥下障害は状態によって5段階に分けられ、通常の食事ができる状態、固形食をいくらか摂取できる状態、半固形食を摂取できる状態、液体を摂取できる状態、完全な嚥下障害がある。

研究の特性

レビューには、手術不能または切除不能の原発性食道がん患者の嚥下障害の改善を目的とするさまざま介入を比較したランダム化比較試験を含めた。本レビュー更新のための新規試験を特定するために、2014年1月にCochrane Upper Gastrointestinal and Pancreatic Diseases modelを用いて同時期までのCENTRAL (コクラン・ライブラリ)、MEDLINE、EMBASEおよびCINAHLと2014年1月までの主な学会議事録を検索した。

主な結果

本レビューでは前版を更新しているが、さまざまな介入のうち、ほかの手法より明らかに優れた手法はまだ示せていない。自己拡張型金属ステントは、柔軟性のないプラスチックステントよりも、安全にかつ効果的に嚥下障害を緩和した。放射線療法または小線源療法(小さな放射線源を治療する部分に挿入して行う放射線治療)等の他の手法も嚥下障害に適した代替の治療法であり、生活の質(QOL)および生存期間の改善に有益であろう。介入のタイプを決定する際には、各介入の違いを重視すべきである。

エビデンスの質

本レビューに含まれた試験の半数は質の高い試験であった。ほとんどの試験は、QOLの結果および有害作用を検討し報告するために用いた方法を記載していなかった。

訳注: 

《実施組織》一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)『海外癌医療情報リファレンス』(https://www.cancerit.jp/) 宮武 洋子 翻訳、加藤 恭郎(天理よろづ相談所病院緩和ケア科)監訳 [2021.04.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン・ジャパンまでご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD005048.pub4》

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