トウサンカ(灯盏花、Deng Zhan Hua)注射剤が急性脳梗塞患者に有益であるという明らかなエビデンスはない。トウサンカ製剤は中薬(中医学の薬草療法)のひとつであり、中国では脳卒中をはじめとする、心臓や脳への血液供給障害の治療によく使用されている。このような化合物には多数の作用があり、脳卒中後の身体障害や能力障害を軽減するのに役立つことがある。脳卒中のなかでも最も多いのが脳梗塞であり、脳の一部への血液供給が遮断されることによって生じる。今回のレビューは、脳梗塞を発症して間もない患者の治療としてのトウサンカ製剤に関するランダム化または準ランダム化比較試験を対象とした。試験9件(参加者723例)を組み入れた。各試験は質の低いものであった。トウサンカ注射剤による治療によって神経機能が改善すると考えられたが、治療が生存率や障害の回避率を改善するというエビデンスは得られなかった。したがって、今回のレビューでは、脳卒中を発症後間もない患者にトウサンカを日常的に使用することを裏付けるエビデンスは得られなかった。よくデザインされた試験がさらに必要である。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD005568.pub2】