急性又は慢性肝疾患患者における上部消化管出血に対する抗線維素溶解性アミノ酸

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上部消化管出血は、肝硬変の経過において最も高頻度の罹病及び死亡の原因の一つである。肝疾患患者は、繊維素溶解亢進などの止血異常を高頻度に呈する。抗線維素溶解性アミノ酸は、緊急を要する消化管症状の治療に適用されてきたが、急性又は慢性肝疾患患者の上部消化管出血に対する使用が利益又は有害性のいずれを生じるかは不明である。肝疾患患者の上部消化管出血に対する抗線維素溶解性アミノ酸使用の利益及び有害性に関するこのシステマティックレビューの対象となるランダム化臨床試験は見いだせなかった。従って急性又は慢性肝疾患患者の上部消化管出血に対する抗線維素溶解性アミノ酸の使用を推奨又は却下することはできない。

著者の結論: 

急性又は慢性肝疾患患者の上部消化管出血に対する抗線維素溶解性アミノ酸使用の利益及び有害性を評価するランダム化臨床試験は見いだされなかった。抗線維素溶解性アミノ酸使用の利益及び有害性をランダム化臨床試験で検討する必要がある。利益と有害性の問題を評価するランダム化臨床試験が実施されていない限り、急性又は慢性肝疾患患者の上部消化管出血に対する抗線維素溶解性アミノ酸の使用を推奨又は却下することはできない。

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背景: 

上部消化管出血は、肝硬変の経過において最も高頻度の罹病及び死亡の原因の一つである。肝疾患患者は、繊維素溶解亢進などの止血異常を高頻度に呈する。従って、肝疾患患者の上部消化管出血の一次治療と併せた補助的介入として抗線維素溶解性アミノ酸の使用が提案されてきた。

目的: 

急性又は慢性肝疾患患者の上部消化管出血に対する抗線維素溶解性アミノ酸使用の利益及び有害な作用を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register(2012年6月11日)、コクラン・ライブラリのCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2012年12号5)、MEDLINE(Ovid SP)(1946年~2012年6月)、EMBASE(Ovid SP)(1974年~2012年6月)、Science Citation Index EXPANDED(1900年~2012年6月)、LILACS(1982年~2012年6月)、世界保健機関(WHO)のClinical Trials Search Portal(2012年6月18日にアクセス)及びMetaregister of Controlled Trials(2012年6月18日にアクセス)を検索した。検索した発表物の参考文献リストを精査した。

選択基準: 

盲検性、言語又は利益及び有害性の評価の発表状態を問わないランダム化臨床試験。有害性を評価する観察研究。

データ収集と分析: 

ランダム化臨床試験のデータをコクラン共同計画の標準的手法により要約するものとした。

主な結果: 

急性又は慢性肝疾患患者の上部消化管出血に対する抗線維素溶解性アミノ酸使用を評価するランダム化臨床試験は見いだされなかった。有害性を評価可能な準ランダム化臨床試験、既存対照を用いた試験又は観察研究は同定されなかった。