このレビューの目的
このレビューは鍼(はり)治療が緑内障患者の治療として効果的かつ安全であるかどうかを評価することを目的とした。このレビューには3件のすでに終了した試験と1件の現在進行中の試験を含めた。
このレビューの重要なメッセージ
現時点では、緑内障患者への治療としての鍼治療の利用を支持するための信頼性のある結論を、現在利用可能なデータから導き出すことは不可能である。
このレビューで検討されたこと
緑内障とは、視神経が障害され、視覚機能に影響を与える疾患である。緑内障は世界中で失明の主な原因となっている。点眼薬やレーザー治療そして手術など多くの治療法があるが、標準治療に加えて鍼治療のような補完代替医療を求める患者もいる。
本レビューの主な結果
3件のすでに終了した試験は台湾と米国の病院で行われており、いずれも緑内障や高眼圧(眼圧が正常より高い状態)の参加者を募集していた。各試験で比較された介入が大きく異なり、耳鍼治療(標準的な鍼治療とは異なった手法)、経皮的電気神経刺激、そして眼球への鍼治療(12セッション)が検討されていた。鍼治療は眼圧を下げる非常に小さい効果があるかもしれないが、エビデンスの確実性は非常に低い。1件の試験では針刺激に対する過敏な反応が報告されていた。これらの試験には視野や視力に対する効果のエビデンスはなかった。
本レビューの更新状況
本レビュー著者らは2018年11月16日までに公表された試験を検索した。
《実施組織》 岩見謙太朗 翻訳、ギボンズ京子 監訳[2020.02.25]
本レビューはCD006030.pub3のアップデート版である。CD006030.pub3の翻訳は、厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)が実施した(2018.12.25)。
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《CD006030.pub4》