臨床症状に基づく場合と比較して、呼気-酸化窒素に基づく吸入ステロイド用量の個別化が6件の研究で異なる方法を用いて行われており、せいぜい軽微な利益しか認められておらず、小児では吸入ステロイド用量が多くなる可能性があった。吸入ステロイド用量の個別化のために呼気-酸化窒素を利用することは、現段階では臨床診療でルーチンに推奨することはできず、その役割は依然としてはっきりしない。
小児および成人の喘息の重症度測定およびコントロールは、自覚的または他覚的指標に基づいて行うことができる。呼気一酸化窒素濃度(FeNO)は喘息の幾つかのマーカーと相関することから、気道の炎症を観察できると提唱されている。喘息治療のための介入は、伝統的に症状および/またはスパイロメトリーに基づいている。
小児および成人の喘息関連アウトカムについて、呼気一酸化窒素に基づいて個別化した喘息介入の有効性を、臨床症状(スパイロメトリー/ピークフローを伴うまたは伴わない)に基づく介入と比較評価する。
Cochrane Airways Group Specialised Register of trials、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASEおよび論文の参照文献リストを検索した。2009年2月に最終検索が完了した。
呼気一酸化窒素に基づく喘息治療の調整を、従来の方法(主に臨床症状およびスパイロメトリー/ピークフロー)と比較したすべてのランダム化比較。
事前に設定した選択基準に照らし合わせて検索結果をレビューした。関連性のある研究の選択は独自に二重に行った。2名のレビューアが独立に試験の質を評価し、データを抽出した。さらなる情報について著者に問い合わせ、1名から回答を得た。
今回の改訂に2件の研究が追加され、今回は6件を含めることになった(成人2件、小児・青年期4件)。これらの研究は、喘息増悪の定義、FeNOカットオフ値、治療を調整するために使用したFeNOの方法、研究期間などのさまざまな点で異なっていた。ランダム化された参加者1,053例のうち1,010例が試験を完了していた。メタアナリシスにおいて、主要アウトカムである喘息増悪、またはその他のアウトカム(臨床症状、FeNO濃度、スパイロメトリー)については、群間で有意差を認めなかった。事後解析から、FeNOに基づく治療群は、臨床症状に基づく治療群と比較して、成人1例あたりの吸入ステロイドの最終1日用量の平均値が有意に減少していた(平均差-450mcg、95%CI -677~-223mcgブデソニド換算量/日)。しかし、成人を対象とした研究のうち1件で使用された吸入ステロイドの総用量は、FeNO群で11%多かった。対照的に、小児を対象とした複数の研究では、FeNO群で吸入ステロイドが有意に増加していた(平均差140mcg、95%CI 29~251mcgブデソニド換算量/日)。