統合失調症に対するフルフェナジンとプラセボの比較

レビューの論点:フルフェナジンはプラセボと比較して統合失調症の治療に有効か?

背景

フルフェナジンは「抗精神病薬」として最初に分類された薬の一つで、数十年前から広く使用されている。

エビデンスの検索

統合失調症患者を対象に、フルフェナジンの経口投与とプラセボ投与をランダム化した試験を2017年12月に電子検索で更新した。今回の更新では、新たに追加された研究は見つからなかった。

特定されたエビデンス

7つの試験がレビューの要件を満たし、使用可能なデータを提供した。現在利用可能なエビデンスは質が低く、フルフェナジンは強力で効果的な抗精神病薬であるが、かなりの副作用があることを示唆している。

結論

抗精神病薬は、統合失調症の治療の第一線であり、主力である。抗精神病薬は、声を聞いたり物を見たり(幻覚)、奇妙な信念を持つ(妄想)などの精神病症状を効果的に治療してくれる。フルフェナジンは最初の抗精神病薬の一つで、約50年前から使用できるようになった。フルフェナジンは安価であり、発展途上国では唯一の治療薬の一つである可能性がある。欧州や北米のほとんどの地域では、まだ入手可能であるにもかかわらず、より新しい抗精神病薬の登場により、フルフェナジンの使用量が減少し、その市場シェアも低下している。フルフェナジンには、以下のような衰弱性の副作用がある:めまい、不随意運動や痙攣などの運動障害、震えや振戦、内なる落ち着きのなさやじっとしていることができない状態、血圧、発熱、筋肉の硬直などの問題。

このレビューには7つの研究が含まれており、フルフェナジンを経口投与した場合の効果をプラセボ(「ダミー」治療)と比較した。主に、フルフェナジンは強力で効果的な抗精神病薬であるが、かなりの副作用があり、他の抗精神病薬の方が好ましいかもしれないという幅広い見解を支持するものである。フルフェナジンは重篤な副作用がある不完全な治療薬なので、統合失調症の人には副作用の少ない他の安価な抗精神病薬の方が良いかもしれない。にもかかわらず、フルフェナジンは低コストで広く使用されているため、統合失調症の治療薬として世界的に最も広く使用されている治療薬の一つであることに変わりはないだろう。しかし、フルフェナジンの副作用の中には、人間の苦しみや治療にかかる個人的な費用が高額になるものもある。フルフェナジンは数十年前から抗精神病薬として使用されてきたが、その有効性と副作用を引き起こす可能性を測定した研究はまだ驚くほど少ない。今後の大規模研究では、精神衛生の改善、再発、退院・入院、治療満足度、生活の質の向上などの重要なアウトカムを報告すべきである。

この平易な要約はRETHINKのサービス利用者Ben Grayによるものである。

訳注: 

《実施組織》阪野正大、小林絵里子 翻訳[2020.10.12]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006352.pub3》

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