月経前症候群の中薬(中医学の薬草療法) 

月経前症候群(PMS)の治療に中薬(中医学の薬草療法) が使用されることがある。しかし、この種の治療法の有効性はランダム化比較試験で厳密に評価されたことがない。

PMSに対し中薬を評価した2件の試験を同定した。このうち1件は質が高い試験で、漢方煎じ薬Jingqianping顆粒についての試験であった。この中薬はPMSからの回復率を改善した。この試験では試験実施者が自ら漢方製剤を提供しているため、さらに試験を実施して、他の製剤でも結果が再現できるか確認することをレビュー著者は推奨する。現時点ではPMSの治療に対する他の中薬の効果に関する強固なエビデンスが不足している。

著者の結論: 

PMSの管理に対する効果が臨床試験で実証されることはまれである。特定した試験のうち1件は試験デザインに優れ、月経前症候群の治療に対するJingqianpingの有効性が報告された。しかし、現時点では、PMSへの中薬の使用を支持するエビデンスは不十分であり、最終的な結論を導くには、適切に比較された試験をさらに実施する必要がある。

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背景: 

中国では月経前症候群(PMS)の治療に中薬がよく使用される。これまで、中薬の効果に関する系統的なレビューは実施されたことがない。

目的: 

月経前症候群の女性の治療に対する中薬の有効性および安全性を評価すること。

検索戦略: 

MEDLINE (1950年1月〜2007年12月)、EMBASE (1980年1月〜2007年12月)、Chinese Biomedical Database (CBM) (1975年1月〜2007年12月)、China National Knowledge Infrastructure (CNKI) (1994年1月〜2007年12月)およびVIP Database (1989年1月〜2007年12月)を検索した。

選択基準: 

月経前症候群の治療に対する中薬の効果を検討したランダム化比較試験(RCT)を対象とした。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が原著論文の著者に電話でRCTについて問い合わせ、ランダム化の手順を確認し、選択基準に適合している試験からデータを抽出し、解析した。

主な結果: 

549名の女性を対象とした2件のRCTを組み入れた。2件のうち方法の質が高い方の試験では、Jingqianping顆粒の治療効果が示された。他方の試験には、さまざまなバイアスのリスクが内在していたため、質が低い試験とみなした。2件の試験において、増殖期 および月経前期にJingqianping顆粒を服用した群ではXiaoyaowan(逍遥丸)を服用した群と比較して症状解消に統計学的有意差が認められた(RR 3.50, 95% CI1.74〜7.06)。Cipher煎じ薬を服用した女性では、co-vitamin B6カプセルを服用した女性と比較して回復率が高かった(RR 48.99, 95% CI 3.06 〜783.99)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.20]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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