外来で子宮鏡の検査を行う時に子宮腔を広げるために使用する物質

レビューの論点

外来で行う子宮鏡検査の際に子宮腔を広げるにはどの物質が最適かを調べた。どの物質がより患者に受け入れられ、副作用が少なく、検査を実施する術者にとって満足度が高く、処置時間が短くなるかを確認した。

背景

子宮は中が空洞になっている器官である。子宮鏡とは、子宮内に挿入して子宮腔内を観察するための器具である。子宮腔内を観察するためには、その中を透明な物質で満たす必要がある。この物質は、液体(生理食塩水)であったり、気体(二酸化炭素)であったりする(訳者注:日本では、一般的に液体の灌流液が使用される)。液体の場合、体温と同じ温度に温めると患者の忍容性を高められることが示された。それぞれの物質には利点と副作用があり、ここではそれらを比較した。

研究の特徴

外来で子宮鏡検査を受ける合計1946人の女性を対象に、子宮を拡張するための物質を比較した12件のランダム化比較試験を特定した。エビデンスは2021年4月現在のものである。

主な結果

術中の痛みは、生理食塩水でも二酸化炭素でもほぼ変わらないかもしれない。強い痛みや鎮痛剤の使用が必要なために手術を中止する割合という点において、生理食塩水が二酸化炭素と同じ程度に許容されるかどうかははっきりしなかった。生理食塩水は、おそらく二酸化炭素よりも副作用が少ない。生理食塩水は、子宮鏡における視野の質という点で、二酸化炭素よりも優れているかもしれない。処置時間に関するエビデンスは、決定的ではなかった。

常温の生理食塩水と比較すると、温めた生理食塩水の方が痛みのスコアを下げる可能性がある。この比較における他の評価項目に関するエビデンスは、決定的ではなかった。

エビデンスの質

エビデンスの質は非常に低度から中等度であった。エビデンスの主な限界は、参加者と術者がどちらの介入を行っているかを分かってしまうこと(盲検化できないこと)、正確性に欠けること、結果が一貫していないことである。

訳注: 

《実施組織》 杉山伸子、小林絵里子 翻訳 [2022.02.18]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006604.pub2》

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