2型糖尿病に対するジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬

著者の結論: 

DPP-4阻害薬には、理論的に経口糖尿病治療薬を用いた既存の治療を上回る利点が幾つかあるが、今は個別の患者に限定するべきである。これらの新規薬剤を広く使用する前に、特に心血管のアウトカムおよび安全性に関する長期データが早急に必要とされる。特に免疫機能のパラメーターに対する有害作用を分析した、DPP-4阻害薬治療の利益リスク比について、さらに多くの情報が必要である。また、健康関連生活の質、糖尿病合併症および総死亡率などの患者志向パラメーターを調べるために、長期データが必要である。

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背景: 

2型糖尿病ではベータ細胞の機能低下が進行する。有望な結果をもたらす一つの新しいアプローチは、シタグリプチンおよびビルダグリプチンのような経口活性のあるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬の使用である。

目的: 

2型糖尿病に対するジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬の効果を評価すること。

検索戦略: 

MEDLINE、EMBASEおよびコクラン・ライブラリをコンピュータ検索し、研究を入手した。

選択基準: 

2型糖尿病成人患者を対象としたランダム化比較試験であり、試験期間が12週間以上の研究を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自にバイアスリスクを評価し、データを抽出した。固定効果モデルのメタアナリシスを用いて研究を統合した。

主な結果: 

質の高い研究25件が同定され、11件の試験はシタグリプチン治療、14件の試験はビルダグリプチン治療を評価していた。全体で6743例の患者がシタグリプチンの研究、6121例がビルダグリプチンの研究にランダム化された。シタグリプチンおよびビルダグリプチンの研究期間は12週間から52週間であった。死亡率、糖尿病合併症、治療費および健康関連生活の質に関するデータは発表されていなかった。シタグリプチン治療およびビルダグリプチン治療により、プラセボと比較して、HbA1cはそれぞれ約0.7%および約0.6%低下した。実対照薬との比較に関するデータは限られていたが、その他の血糖降下薬とは異なり、DPP-4介入後に代謝コントロールの改善は示されなかった。シタグリプチン治療およびビルダグリプチン治療により体重が増加することはなかったが、体重減少はプラセボ介入後の方が顕著であった。シタグリプチンおよびビルダグリプチンがベータ細胞機能の測定値に及ぼす効果に関して、発表されたデータから決定的な結論を導き出すことはできなかった。全体的に、シタグリプチンおよびビルダグリプチンの忍容性は良好であり、シタグリプチンまたはビルダグリプチンを服用していた患者において重度の低血糖は報告されなかった。あらゆる原因による感染症はシタグリプチン治療後に有意に増加したが、ビルダグリプチン治療後の場合は統計学的に有意な水準に達しなかった。12週間以上のシタグリプチン治療およびビルダグリプチン治療に関する発表済みのランダム化比較試験はすべて、安全性に関するルーチンの検査結果しか報告していなかった。

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