人々はより長生きしているが、高齢者は多くの健康上の問題や障害を抱えていることが多く、その結果、ケアホームで生活し、最終的にはそこで亡くなることになる。このような施設の入居者はそこで亡くなる可能性が高く、緩和ケアが必要な場所となっている。緩和ケアでは、人生の終わりを迎える人々が経験する痛みやその他のつらい症状を緩和することができる。緩和ケアは、人々が最期までできる限り生き生きと暮らし、家族が患者の療養中や死別後に適応できるように支えることを目的としている。このレビューの目的は、ケアホームにおける緩和ケア介入がどれほど効果的であるかを確認し、研究で使用されたアウトカム指標(成果指標)を記述することであった。適格基準を満たすのは3つの研究(735人)のみで、すべて米国からのものあった。ケアホームの高齢者の緩和ケアを改善するための介入が入居者の転帰を改善したというエビデンスはほとんどなかった。ある研究では、緩和ケアによって遺族のケアの質に対する認識が向上し、別の研究では、死期を迎えた認知症の入居者の不快感が低下したことが明らかになった。これらの両方の結果には問題があった。2つの研究では、緩和ケアがケアホームで行われていたケアの方法の一部を改善したという結果が出ていたが、それが入居者にとってより良い転帰につながったかどうかは明らかではない。特に米国以外で実施された、質の高い研究がより多く求められている。
《実施組織》 阪野正大、木下恵里 翻訳[2020.10.04]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007132.pub2》