経皮的電気神経刺激(transcutaneous nerve stimulation :TENS)は低電圧電流を発生させる機器であり、分娩時疼痛の管理に使用されてきた。TENSが作用するしくみは十分に解明されていない。電気的パルスは脊髄の神経経路を刺激して、疼痛の伝達をブロックすると考えられている。分娩時に、TENS装置からの電極を通常腰部に付着する(そして、女性が手持ち式のデバイスで電流を自らコントロールする)が、TENSを経穴(ツボ)や頭部に直接適用することもできる。今回のレビューの目的は、TENSが分娩時の疼痛緩和に有効かどうかを調べることであった。このレビューには、17件の試験の結果(計1,466例の女性)が組み入れられている。13件の試験がTENSを背部に、2件が経穴(ツボ)に、2件が頭蓋(頭部)に適用していた。TENSを使用する女性と対照群の女性で疼痛スコアは同等という結果が示された。TENSを使用する女性は自身の疼痛を高度と評価することが少ないとするエビデンスが一部にあったが、結果は一致していなかった。多くの女性が将来の分娩でも再度TENSを使用したいと述べている。TENSは分娩の長さ、分娩時の介入、母親と出生児の健康には影響を及ぼさないようであった。TENSが在宅での早期陣痛の疼痛管理で女性の助けとなるかどうかは不明である。TENSによって疼痛が緩和されるかどうかは明らかでないが、女性が助けになると考えている場合には、分娩時に使用する選択肢があるべきである。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD007214.pub2】