現在のエビデンスは、切迫流産治療におけるhCGのルーチンの使用を支持していない。
流産は妊娠初期によく起こるものである。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は合胞体栄養細胞層により分泌される。hCGはプロゲステロンを分泌するよう黄体を促し、妊娠維持に役立つ。それゆえ、切迫流産を治療するためのhCGの使用に大きな関心がもたれている。
切迫流産の治療におけるヒト絨毛性ゴナドトロピンの有効性と安全性を評価する。
Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年2月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ2010年第1号)、MEDLINE(1966年~2010年2月12日)、EMBASE(1980年~2010年2月12日)、CINAHL(1989年~2010年2月12日)を検索した。未同定の論文を求めてすべての検索した論文の参考文献目録も入念に調べ、必要な場合、著者への連絡を試みた。
治療開始前に超音波法により胎児の生存可能性が確認されている、切迫流産の治療におけるhCGの有効性をプラセボ、無治療、またはあらゆる他の介入と比較・評価しているすべてのランダム化比較試験(RCT)
少なくとも2人のレビューアが、試験が本レビューへの組み入れに適格であるか評価し、データを抽出した。
3件の研究(参加者312例)を本レビューに組み入れた。そのうち1件は方法論的な点で質のよくない研究であった。メタアナリシスは、hCG群と「非 hCG」(プラセボまたは無治療)群の間で流産の発生率に統計学的に有意な差がないことを示した(リスク比(RR)0.66;95%信頼区間(CI)0.42~1.05)。hCGをベッド安静のみと比較した場合、流産リスクが有意に低下した(RR 0.47;95%CI 0.27~0.82)。この結果が導かれた2件の試験のうち1件は方法論的質が不良であったので、この結果を注意して解釈すべきである。母親や胎児に対するhCGの有害作用の報告はなかった。切迫流産におけるhCGの効果を評価するためにはより多くの良質なRCTが緊急に必要である。