高血圧に対する発酵乳

高血圧は心血管系疾患の主要なリスク因子の一つであるため、大きな健康問題である。発酵乳はヒトの血圧を低下させると示唆されている。発酵乳の摂取がヒトで血圧を低下させるか確認するため本レビューを実施した。1,232名の参加者を対象とした15件の研究で、非常に軽微な収縮期血圧低下が認められた。しかし、拡張期血圧への効果はなかった。選択した研究の質は多様で、本所見では抗高血圧治療としてまたは血圧を下げる生活習慣の介入としての発酵乳の使用は支持されなかった。

著者の結論: 

本レビューでは発酵乳の血圧に対する効果は支持されなかった。SBPに対する陽性効果にもかかわらず、レビューアはいくつかの理由から発酵乳は血圧に影響を及ぼさないと結論した。得られた所見の効果は非常に軽微でSBPに対してのみみられ、選択した研究の異質性は非常に高く方法論的に弱い部分が数ヵ所認められた。決定的には感度分析とサブグループ解析により抗高血圧効果を再現できなかった。結果によると高血圧の治療としての発酵乳の使用、および高血圧前症に対する生活習慣の介入としての発酵乳の使用のいずれも示唆しなかった。また集団の血圧への影響もないと考えられた。

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背景: 

発酵乳には細菌発酵の際に産生される蛋白およびペプチド成分の増加による血圧低下の効果があると示唆されている。高血圧は世界で心血管系疾患の主要なリスク因子の一つであり、発酵乳などの血圧を低下させる新規の生活習慣の介入は非常に重要である。

目的: 

無治療またはプラセボに比べて発酵乳または乳タンパク質の乳酸菌発酵による類似の製品がヒトで血圧低下の効果を示すか検討すること。

検索戦略: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE(1966~2011年)、EMBASE(1974~2011年)、Cochrane Complementary Medicine Trials Register、Allied and Complementary Medicine(AMED)(1985~2011年)、Food science and technology abstracts(1969~2011年)などの英語データベース。

選択基準: 

ヒトを対象に4週間以上の介入期間で発酵乳の血圧に対する効果を評価しているランダム化比較試験(RCT)またはクロスオーバーおよび並行群間研究。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出し、その後必ず合意してから本レビューに組み入れた。

主な結果: 

収縮期血圧(SBP)に対し発酵乳の軽微な全体的効果を認めた(MD -2.45、95%CI -4.30~-0.60)。しかし、拡張期血圧(DBP)には明らかな効果はなかった(MD -0.67、95%CI -1.48~0.14)。

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