高血圧に対するスピロノラクトン

著者の結論: 

限定的な入手可能なエビデンスによると、原発性(本態性)高血圧の患者において、100~500mg/日の用量が投与される場合、スピロノラクトンはプラセボと比較して血圧を低下させ、降圧効果は同程度であると思われる。25mg/日の用量では、プラセボと比較して、収縮期血圧または拡張期血圧は有意に低下しなかった。用量-反応の関係がなかったことに加え、より高用量では有害事象のリスクが高まる可能性を考慮すると、25~100mg/日の用量が妥当である。高血圧患者における臨床的アウトカムにスピロノラクトンが有効であるというエビデンスはない。

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背景: 

スピロノラクトンはアルドステロン拮抗薬であり、すでに多剤を用いて治療されている患者における高血圧に対するフォースライン治療とみなされている。

目的: 

主要目的:患者死亡率や罹病率に対するスピロノラクトンの効果を明らかにし、スピロノラクトン単剤療法の降圧効果の大きさを定量化する。副次目的:スピロノラクトン単剤療法で観察される有害反応の有病割合を明らかにし、スピロノラクトンによる降圧に用量反応関係があるかどうかを検討する。

検索戦略: 

次のデータベースを検索した:Cochrane Central Register of Controlled Trials(2009年第3四半期)、MEDLINE(2005年~2009年9月)、EMBASE(2007年~2009年9月)。最初の検索で見落とされた研究を同定するため、回収した研究の参考文献をレビューした。言語制限は用いなかった。

選択基準: 

原発性高血圧の患者を研究したランダム化比較試験(RCT)を選択した。二次性高血圧や妊娠性高血圧の患者を対象とした研究、および、患者が複数の降圧薬投与を受けていた研究を除外した。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自に、我々の基準に合致している研究を同定するため検索結果をレビューした。3人のレビューアが標準化されたデータ抽出形式を用いてデータを抽出し試験の質を評価した。データの合成と解析をRevMan 5を用いて行った。

主な結果: 

5件のクロスオーバー研究のメタアナリシスによると、収縮期血圧(SBP)は20.09mmHg(95%CI:16.58~23.06、p<0.00001)、拡張期血圧(DBP)は6.75mmHg(95%CI:4.8~8.69、p<0.00001)低下した。これらの結果は統計学的に有意であり、研究間の異質性のエビデンスはなかった。50mg/日までのスピロノラクトンで用量反応効果があると思われるが、25~500mg/日の範囲の用量に対する平均研究終了時の血圧あたりの信頼区間はすべてオーバーラップしている。つまり、50mg/日以上の用量ではSBPもDBPもそれ以上は低下しないようである。1件のクロスオーバー研究では、スピロノラクトン25mg/日はプラセボと比較してSBPやDBPを統計学的に有意に変化させなかった(SBP:-9.9[95%CI:-21.15~1.35];DBP -2.34[95%CI:-7.92~3.06])。

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