糖尿病などの慢性疾患の患者は、補完代替医療を用いることが多い。今回のレビューは、糖尿病に対するさまざまなアーユルヴェーダ療法の有用性および安全性を検討した。参加者354例(治療群172例、対照群158例、分類不可24例)を含む7件の試験を同定した。すべての試験に、2型糖尿病成人患者が組み入れられていた。5種類の薬草混合物(一般用医薬品)についての試験は6件、アーユルヴェーダ療法全体についての試験は1件のみであった。治療期間は3~6カ月であった。1件の試験では、Diabecon、InolterおよびCogent DB(一般医薬品用薬草混合物)のそれぞれが、対照群と比較して、治療期間終了時のグリコシル化ヘモグロビンA1c(haemoglobin A1c :HbA1c)の有意な低下が認められた。Diabeconについての試験2件、およびCogent DBについての1件(一般医薬品用薬草混合物)では、治療群において試験期間終了時の空腹時血糖値の有意な低下が認められた。これらの試験では死亡は認められず、介入群と対照群の間で副作用に有意差は認められなかった。Pancreas tonicについての1件の試験では、健康関連の生活の質に有意な変化は報告されなかった。糖尿病合併症、あらゆる原因による死亡、および医療費について報告している試験、またはそれらを調査するようにデザインされた試験はなかった。一部の試験では肯定的な結果が出ており、重篤な副作用も報告されていないが、評価した研究の方法が弱く参加者数が少ないため、確実な結論を導くことはできない。これらの治療法の有用性を評価するには、さらに試験が必要である。アーユルヴェーダ療法の施術者は通常、食事法、運動、および生活様式とともに、さまざまな薬草や一般医薬製剤の混合物を用いる。この治療法は普通、3つの「ドーシャ」のバランスを考慮して個別に行われる。対象とした試験における介入は、実際のアーユルヴェーダ療法と同一ではなく、一部の要素を個別に評価しているだけである可能性がある。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD008288.pub2】