小児における流行性耳下腺炎に対する鍼治療

レビューの論点
流行性耳下腺炎を呈した小児に対する鍼治療の有効性と安全性を確定することを目的とした。

背景
中国では、鍼治療は小児における流行性耳下腺炎の治療として数百年も前から使われてきた。鍼治療による利益には、腫れや痛みの軽減、罹患期間の短縮などがある。伝統中国医学によると、気またはエネルギーが14の経絡をスムーズに流れるよう維持することで健康を獲得することができるという。流行性耳下腺炎は、「風温邪」(温毒)および「熱毒」が少陽および陽明の経穴に溜まることにより、気の流れ、唾液、「暑邪」が耳や頬あたりでよどみ、引き起こされる。鍼治療は、「風温邪」を排除し、病原性の熱を取り、有毒物質を取り除き、抗炎症薬として働き、痛みを緩和し気の流れを正常に戻すことで身体のバランスを回復させる。

研究の特性
選択基準に合致した試験はなかった。

主な結果
本更新の目的は、流行性耳下腺炎を呈した小児に対する鍼治療の有効性と安全性を対象としたすべてのランダム化比較試験(RCT)のシステマティック・レビューを実施することであった。本エビデンスは2014年12月現在のものである。中国では流行性耳下腺を呈する小児に鍼治療が広く使われており、ランダム化比較試験と称する多くの試験が公表されているが、適格条件を満たす試験はなかった。いずれの試験も選択しなかったが、見いだした研究を再検討したところ流行性耳下腺を呈する小児の治療としての鍼治療における有害事象の報告は1件もなかった。従って、流行性耳下腺を呈する小児に対する鍼治療の有効性および安全性については、明確な結論が得られない。

著者の結論: 

本レビューの更新に際して特定された試験はなかったため、鍼治療の有効性および安全性に対する結果には至ることができなかった。さらなる質の高い研究が必要である。

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背景: 

流行性耳下腺炎(おたふく風邪)は、急性ウイルス性疾患で、咳やくしゃみ、唾液によって感染する。流行性耳下腺炎を呈した小児に対し鍼治療は有益であることが多くの中国の研究発表に示されているが、流行性耳下腺炎に対する鍼治療の有益性または有害性について報告している文献の、システマティック・レビューは実施されていない。

目的: 

流行性耳下腺炎を呈した小児に対する鍼治療の有効性と安全性を明らかにすること。

検索戦略: 

CENTRAL (2014年第 11号)、 MEDLINE (1950 年~2014年11月第3週)、EMBASE (1974年~ 2014年12月)、 CINAHL (1981年~2014年12月)、 AMED (1985年~2014年12月)、Chinese BioMedicine Database (CBM) (1979年~2014年11月)、 China National Knowledge Infrastructure (CNKI) (1979年~2014年11月)、 Chinese Technology Periodical Database (CTPD)(1989年~2014年11月)、WANFANG database (1982年~2014年11月)を検索した。また多くの雑誌(第1号から最新号まで)をハンドサーチした。

選択基準: 

流行性耳下腺炎に対して、鍼治療とプラセボ鍼治療、非治療、漢方薬治療、西洋薬治療、その他の治療を比較したランダム化比較試験。 鍼治療は伝統的鍼治療または現代医学的鍼治療を対象とし、刺激源(身体、電気、頭皮、火、手、細針、灸)は問わないとした。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立してデータを抽出した。本レビューの更新に際して新たに同定された試験はなかった。

主な結果: 

選択基準に合致した試験はなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.6]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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