レビューの論点
クロミフェン抵抗性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)女性に、排卵誘発の為に超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術を行うことが有益かどうか調べた。
背景
クロミフェンクエン酸塩はPCOS(生殖年齢の女性によく見られるホルモン異常)の女性に対し、排卵誘発(卵巣から卵子を放出させること)の第一選択薬の一つとして使用される。しかし、15~40%のPCOS女性はクロミフェン投与後も排卵しない(クロミフェン抵抗性という)。超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術(腟内に挿入した超音波プローブの画像を参照して卵巣に穴をあけること)は、クロミフェン抵抗性PCOS女性に対して、優良な卵胞の放出(排卵)を補助するために行われる。また、クロミフェン抵抗性PCOS女性に対する排卵誘発の方法として、ゴナドトロピン(注射用ホルモン薬)が使用されることもある。
腹腔鏡(骨盤内に向かって小さな傷をつくり、細いカメラで卵巣を観察する)による卵巣開孔と比較して、超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術は手術合併症のリスクを低減する可能性が示唆されている。しかしながら、超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術についての研究のほとんどは、質的限界がある。選択基準を満たす研究は見つからなかった。超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術の安全性と有効性はいまだに不明である。
検索日
2020年12月までに発表された研究を検索した。
研究の特性
解析に含められる研究はなかった。以前含めていた3研究は、研究法についての不確実性のため、待機中の分類に仕分けた。
主な結果
今回のレビューでは含められる研究がなかったため、クロミフェン抵抗性PCOS女性に対する超音波ガイド下経腟的卵巣開孔術の有益性・有害性を評価することはできなかった。
エビデンスの質
質的評価の対象となった研究はなかった。
《実施組織》内藤未帆、杉山伸子 翻訳[2021.11.24]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD008583.pub3》