白内障手術での2つの異なる水晶体除去法の比較(特に、低所得国での比較について)

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加齢に伴い、眼の水晶体は混濁していき、これは白内障として知られている。加齢白内障は世界で失明の最も多い原因である。白内障による視力障害は、混濁した水晶体を除去し、眼内レンズ(IOL)として知られているプラスチックレンズと置き換える外科的処置により治癒が可能である。主な問題点は、特に低所得国での最良の水晶体除去法は何かということである。本レビューでは、2つの水晶体除去法、用手小切開白内障手術(MSICS、小切開から水晶体を破砕し除去する方法)と白内障嚢外摘出術(ECCE、大きい切開から水晶体を除去する標準的方法)を検討した。本レビューには、これらの2つの方法を比較している3件のランダム化比較試験(RCT)を選択した。インドとネパールの加齢白内障953名はMSICSまたはECCEにランダムに割り付けられた。試験の報告には、方法の一部が明確に記述されていなかったが、1件の試験のみアウトカム評価者が投与群に対して盲検化されていた。当該研究のうち2件のみが視力について関連性のあるデータを報告していた。MSICSにより水晶体除去を受けた人の方が良好な視覚機能を得る可能性が高かったが、全体として、2件の研究で良好な視覚機能が得られた人は50%以下であった。2件の試験に組み入れられた人のうち1.2%は最高矯正視力が6/60未満で術後のアウトカムが不良であった。本アウトカムに関して2群間に差があるというエビデンスはなかった。手術が原因の乱視は、このアウトカムを報告している2件の試験でMSICSよりECCEによる方法での方が多かった。1件の研究では、術中および術後合併症はMSICS群の方が多かった。1件の研究の報告では、2つの方法の費用は同程度であった。インドとネパール以外の国からの研究はなく、各方法の費用対効果に関するデータは不十分であった。何らかの変更が実施される前に良好なエビデンスが必要である。より長期の追跡期間(6ヵ月)で、有害事象を検討するためのより大規模なサンプル・サイズを有し、本レビューで示されたバイアスを最小にするような研究が今後必要である。

著者の結論: 

インドとネパール以外の国からの研究はなく、各方法の費用対効果に関するデータは不十分であった。何らかの変更が実施される前に、より良好なエビデンスが必要である。より長期の追跡期間で、有害事象の検討が可能なより大規模なサンプル・サイズを有し、本レビューで示されたバイアスを最小にするような研究が今後必要である。

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背景: 

加齢白内障は、水晶体蛋白の変性の結果起こる水晶体混濁である。大半の先進国以外の世界では、加齢白内障は依然として失明の主要原因である。主な問題点は、特に低所得国での最良の水晶体除去法は何かということである。

目的: 

白内障手術での2つの異なる水晶体除去法、用手小切開白内障手術(MSICS)と白内障嚢外摘出術(ECCE)を比較すること。

検索戦略: 

CENTRAL(Cochrane Eyes and Vision Group Trials Registerを含む)(コクラン・ライブラリ2012年第1号)、MEDLINE(1950年1月~2012年2月)、EMBASE(1980年1月~2012年2月)Latin American and Caribbean Literature on Health Sciences(LILACS)(1982年1月~2012年2月)、Web of Science Conference Proceedings Citation Index- Science (CPCI-S)、metaRegister of Controlled Trials (mRCT) (www.controlled-trials.com)、ClinicalTrials.gov (www.clinicaltrials.gov) 、WHO International Clinical Trials Registry Platform (ICTRP) (www.who.int/ictrp/search/en)を検索した。日付と言語の制限を試験の電子的検索において設けなかった。最新の電子的データベース検索日は2012年2月14日であった。

選択基準: 

ランダム化比較試験(RCT)のみを選択した。試験参加者は、加齢白内障の人であった。後房眼内レンズ(IOL)移植によるMSICSを後房眼内レンズ(IOL)移植によるECCEと比較している試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを収集した。術後1年3ヵ月時に、視力が6/12以上で最高矯正視力が6/60未満を示すデータを収集することを目的とした。他のアウトカムは、術中合併症、長期合併症(術後1年以上)、生活の質、および費用対効果などであった。選択した試験から利用可能なデータは十分ではなかったためメタアナリシスを実施できなかった。

主な結果: 

加齢白内障の人をMSICSまたはECCEにランダム化している3件の試験を本レビューに選択した(参加者953名)。2件はインドで、1件はネパールで実施されていた。ランダム割り付けや割りつけの隠蔽化(コンシールメント)などの試験方法は明確な記述がなかったが、1件のみアウトカム評価者の盲検化を試みていた。この3件の研究は術後6~8週の追跡調査を報告していた。2件の研究で、MSICS群の方がECCE群に比べて裸眼視力が6/12または6/18以上となった参加者が多かったが、全体として、2件の研究で良好な視覚機能が得られた人は50%以下であった。術後に不良なアウトカム(最高矯正視力が6/60未満)を示した人は2件の試験の参加者806名中10名(1.2%)で、2つの方法にリスクの差のエビデンスはなかった[リスク比(RR)1.58、95%信頼区間(CI)0.45~5.55]。手術が原因の乱視は、このアウトカムを報告している2件の試験でMSICSよりECCEによる方法での方が多かった。1件の研究では、術中および術後合併症はMSICS群の方が多かった。1件の研究の報告では、この2つの方法の費用は同程度であった。