多嚢胞性卵巣症候群の女性における、ゴナドトロピンによる排卵誘発中のメトホルミン

レビューの論点:コクラン・レビューの著者は、メトホルミンを追加することで、ゴナドトロピンによる排卵誘発の効果が高まるかどうかを明らかにしたいと考えた。

背景:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性は、排卵がない、または排卵回数が減少することにより、妊娠の可能性が低くなり、医学的な治療が必要となる。クロミフェンクエン酸塩により約80%の女性が排卵でき、50%の女性が妊娠すると言われている。残りの女性は、卵巣に作用して排卵を促すホルモンであるゴナドトロピンを服用することがある。インスリン抵抗性と無排卵の関連性から、メトホルミンの添加により排卵誘発効果が高まるのではないかという仮説が立てられた。

研究の特性:PCOSの女性が排卵誘発のためにゴナドトロピン治療を受けた場合の5件のランダム化比較試験を対象とした。このレビューは、排卵誘発のために、ゴナドトロピンにメトホルミンを加えた場合と、ゴナドトロピンにプラセボを加えた場合を比較した。エビデンスは2016年7月までのものである。

主な結果:264人を対象とした5件の研究を対象とした。エビデンスの質は非常に低度と評価した。メトホルミンとプラセボの間で多胎妊娠のリスクに差があるというエビデンスは得られなかったが、メトホルミンの方が出生、継続的な妊娠、臨床的な妊娠の割合が高いことがわかった。

エビデンスの質:出生、継続的なの妊娠、臨床的な妊娠、多胎妊娠については、エビデンスの質は低度だった。エビデンスの限界としては、試験方法の報告が不十分であること、研究参加者およびアウトカム評価者の盲検化が不十分であることなどが挙げられる。

訳注: 

《実施組織》増澤祐子、 杉山伸子 翻訳 [2021.09.06] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009090.pub2》

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