レビューの論点:このレビューでは、RSE患者の発作を抑制するために使用されたこれらの麻酔薬の使用に関するエビデンスを評価した。
背景:30分以上持続する持続性痙攣は、大きな合併症と死亡率を伴う主要な医療処置が必要な緊急事態である。時には、これらの痙攣が第一選択薬や第二選択薬の治療に反応しないこともあり、持続的発作や痙攣に苦しむ患者の最大31%に発生する可能性がある。持続的発作は、抗てんかん薬に反応しなくなる可能性がある。このような状況では発作を抑えるために、チオペンタールナトリウムやプロポフォールなどの麻酔薬が頻繁に投与される。どちらの薬剤にもそれぞれ副作用や合併症がある。
研究の特性:エビデンスは2016年8月までのものである。募集の問題で早期に打ち切られた1件の試験しか確認できなかった。この研究では、必要な150人のうち24人しか登録されていない。本試験は、小規模な単盲検多施設共同試験で、成人のRSE患者に対して、発作の抑制のためにプロポフォールまたはチオペンタールナトリウムのいずれかを投与することを検討した。
主要な結果:この2つの薬剤の間には、発作を抑制する能力に差はなかった。唯一の違いは、チオペンタールナトリウム群の患者が長時間の人工呼吸管理を必要としたことであった。これは、薬物の分解が遅いため、薬剤が体内に長く存在することが原因と考えられる。
エビデンスの質:主要評価項目である発作の完全なコントロールと病院での死亡率に関してエビデンスの質は低いと判断した。RSE治療における麻酔薬の有効性を検討するためには、大規模なランダム化比較試験が必要であることは明らかである。
《実施組織》 冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2022.02.01]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009202.pub4》