妊娠中の尿路感染症の再発予防に対する介入

再発性尿路感染症(RUTI)は、一般的に女性に多く、特に妊娠中の女性に多く見られる。尿路感染症(UTI)とは、尿中に細菌が存在する(細菌尿)結果、尿路(膀胱、腎臓)が細菌に感染することである。妊娠中の尿路感染症は、早産や在胎不当過小児(在胎期間別出生時体格基準の10パーセンタイル未満で生まれること、SGA児)など、母子ともに望ましくない妊娠転帰につながる重篤な合併症となる可能性がある。したがって、妊娠中の再発性尿路感染症を予防するための最適な介入方法を見出すことは、妊娠の転帰を改善するために重要である。妊婦の再発性尿路感染症を予防するための介入には、薬剤(抗生物質)を用いたものと薬剤を用いないもの(クランベリー製品、鍼治療、プロバイオティクス、行動変容など)がある。今のところ、妊娠中の女性の再発性尿路感染症を予防する最善の方法についてはほとんどわかっていない。

このレビューでは、200人の妊婦を対象に、ニトロフラントイン(抗生物質)投与と綿密な経過観察(定期的なクリニック受診、尿培養、培養で陽性だった場合には抗生物質の投与)の併用、または綿密な経過観察のみを行った研究が1件だけ確認された。ニトロフラントインの連日予防投与と綿密な経過観察の併用が、綿密な経過観察のみの場合と比較して、再発性尿路感染症を予防するという結果は得られなかった。なお、エビデンスの質は非常に低度であった。クリニックへの通院率が高く、ニトロフラントインの予防投与と綿密な経過観察を受けていた女性において、無症候性細菌尿(尿路感染症の症状を伴わないが、細菌が尿中に認められること)が有意に減少した。エビデンスが不足しているため、結論を出すことはできない。今後、妊娠中の女性の再発性尿路感染症を予防するための最適な介入方法を評価するために、さまざまな薬理学的および非薬理学的介入を比較するランダム化比較試験が必要である。その試験では、母子双方の包括的な転帰が検討されるべきである。

訳注: 

《実施組織》 杉山伸子、小林絵里子 翻訳 [2021.10.15]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009279.pub3》

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