レビューの論点
このレビューは、Cochrane Database of Systematic Reviews (2018年1号)に掲載された「焦点性てんかんに対するロシガモンのアドオン療法」の更新版である。焦点性てんかんのアドオン療法として使用した場合のロシガモンの有効性と忍容性に関するエビデンスをレビューした。2件の研究が該当した。
背景
てんかんは、世界で約5,000万人が罹患している一般的な神経疾患である。これらの人々の約3分の1は、1種類の抗てんかん薬(AED)では十分なコントロールができず、2種類以上のAEDによる治療(アドオン療法)が必要となる場合が多くある。近年、多くの新しいAEDが焦点性てんかんのアドオン療法として研究されており、ロシガモンはその1つである。私たちは、焦点性てんかんの患者に対して、ロシガモンが効果的で忍容性のある治療法であるかどうかを検証したいと考えた。
研究の特性
本エビデンスは2019年8月までのものである。その結果、焦点性てんかんに対するロシガモンの追加投与を評価した2件の研究が見つかり、18歳以上の対象467人が参加した。両試験とも、焦点性てんかんに対するアドオン療法として、ロシガモン1200mg/日または1500mg/日を評価した。
主な結果
本レビューの結果、ロシガモンを追加投与した対象者は、短期的に発作頻度を50%以上減少させる可能性が高いことが示されたが、ロシガモンはプラセボに比べて治療中止になる副作用が多く見られた。ロシガモンによる最も頻度の高い有害事象は、めまいであった。
エビデンスの質
その結果、1件の研究は方法論的に優れていると評価され、もう1件の研究はエビデンスの質が不確かであると評価された。評価されたアウトカムに関するエビデンスの全体的な質は中等度であると判断した。
《実施組織》 冨成麻帆、 阪野正大 翻訳[2022.02.01]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD009324.pub5》