コレセベラムは2000年代に高脂血症(血中脂質高値)の治療に対し本来は承認されましたが、血糖値も改善することがわかっています。そのため、2型糖尿病の管理におけるその役割を検討しました。総数1,450名がコレセベラムを検討した6件の研究に参加していました。これらの研究の期間は8~26週間でした。コレセベラムを直接プラセボと比較していたのは1件の小規模な研究のみで、他の5件の研究は、他の抗糖尿病薬を併用したコレセベラムをプラセボと他の抗糖尿病薬との併用と比べて検討していました。同じ介入および比較群をもった2つの研究はありませんでした。他の抗糖尿病薬に追加した場合、コレセベラムにより血糖と血中脂質のコントロールが改善されました。しかし、コレセベラムをプラセボと比較した研究は1件のみであったため、使用した他の抗糖尿病薬とコレセベラムの効果を切り離してみることは困難でした。有害作用にも同じことが言えますが、3件の研究が非重篤な低血糖エピソードを少数のみ報告しており、他の重篤な副作用はみられませんでした。死亡率、ならびに目、腎臓の病気、心臓発作および脳卒中などの2型糖尿病の合併症、健康関連の生活の質、機能的なアウトカム、治療の費用を検討した研究はありませんでした。そのため、コレセベラムの有効性および安全性に関する長期データが必要です。
抗糖尿病薬に追加したコレセベラムにより、血糖コントロールに対して有意な効果が示された。しかし、研究数は限定的で、研究にはコレセベラムと抗糖尿病薬との様々な併用がみられた。長期効果、特に心血管系リスクの管理での長期効果および2型糖尿病の細小血管性および大血管性合併症の減少を評価するため、コレセベラム治療の利益-リスク比に関するさらなる情報が必要である。さらに、健康関連の生活の質および全死亡率に関する長期データも検討する必要がある。
コレセベラムは、血糖値と脂質値の両方に効果のある第二世代胆汁酸捕捉剤である。コレセベラムは、血糖と脂質を同時にコントロールする方法として有望と考えられている。
2型糖尿病に対するコレセベラムの効果を評価すること
コクラン・ライブラリ(2012年第1号)、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、LILACS、OpenGrey and Proquest Dissertations and Thesesデータベース(すべて2012年1月まで)の電子的データベースをハンドサーチも併用して検索した。言語による制限は設けなかった。
他の経口投与の血糖降下薬の併用また無併用のコレセベラムを、他の経口投与の血糖降下薬の併用を問わないプラセボまたはコントロール介入と比較したランダム化比較試験(RCT)を選択した。
2名のレビューアが別々に試験を選択しデータを抽出した。ランダム化、割りつけの隠蔵化(コンシールメント)、盲検化、アウトカムデータの完全性、選択的報告および他の可能性のあるバイアス源のパラメーターを用いて試験のバイアスリスクを評価した。
参加者1,450名を対象とした8~26週の範囲の6件のRCTが選択基準を満たした。試験のバイアスリスクは全体として不明~高であった。全てのRCTは、他の抗糖尿病薬治療併用または無併用のコレセベラムをプラセボのみ(1件の研究)または抗糖尿病薬治療併用のプラセボと比較していた。抗糖尿病薬に追加したコレセベラムにより、空腹時血糖が統計学的に有意に低下し、平均差(MD)は-15 mg/dL[95%信頼区間(CI)-22~-8、P < 0.0001、参加者1075名、4試験、全ドメインで低バイアスリスクの試験はなし]であった。またコレセベラムを支持する糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)の低下もみられた(MD -0.5%、95%CI -0.6~-0.4、P < 0.00001、参加者1315名、5試験、全ドメインで低バイアスリスクの試験はなし)。しかし、コレセベラムをプラセボ単独と比較した1件の試験(参加者33名)では、2群間に統計学的有意差はみられず、実際のところ両群でHbA1cが上昇した。抗糖尿病薬に追加したコレセベラムにより、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールの統計学的に有意な低下が示され、MDは-13 mg/dL(95%CI -17~-9、P < 0.00001、参加者886名、4試験、全ドメインで低バイアスリスクの試験はなし)であった。非重篤な低血糖エピソードはあまり多くはみられなかった。他の重篤な有害作用は報告されなかった。疾患の合併症、罹病率、死亡率、健康関連の生活の質および費用の記載はなかった。