HIVに感染している妊婦や授乳中の女性において、有害性を低減するための微量栄養素補充による介入

微量栄養素は、毎日の食事における重要な要素である。必要なのは少量のみであるが、微量栄養素の欠如は、疲労感、貧血(血中の鉄分低下)、学習能力の低下、免疫力の低下、夜盲症と関連する。妊娠中の女性では、微量栄養素の不足が、胎児の発達や母体の健康状態に影響すると示されている。HIV感染率の高い地域では、食料の入手可能率が低いことから、脆弱な人々やリスクの高い人々において、疾患負担が倍になると考えられている。特に、HIVに感染した妊娠中や授乳中の女性は、十分な食事(微量栄養素を含む)摂取、免疫系低下、成長する胎児や乳児の栄養的要求の課題に直面する。

今回のレビューでは、1995年〜2006年に実施されたランダム化対照試験4件を同定し、微量栄養素の補充のベネフィットを評価した。試験は、大都市圏における病院を拠点とした周産期クリニックにおいて実施され、参加者は妊娠12〜27週目の妊娠中の女性であり、被験者数は400〜1129例であった。複数の微量栄養素補充により、妊娠女性や胎児の健康度が改善した。重大な有害作用は報告されていない。亜鉛を補充しても、重大な有益な効果はみられなかった。セレニウムを補充しても、母体の妊娠やHIV疾患に影響しなかったが、胎児生存率が上昇し、母体の下痢の発症率が低下したと考えられる。しかし、抗レトロウイルス薬を投与中の妊娠中HIV感染女性に対する微量栄養素補充の効果を評価するにはエビデンスは十分ではない。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD009755】

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