パラコートは非選択的除草剤で、世界で一般的に使用されている。現在、パラコート中毒の人に有効な医薬品はない。Xuebijing注射は、ベニバナ(Flos Carthami)、赤芍(Radix Paeoniae Rubra)、川芎(Rhizoma Chuanxiong)、丹参(Radix Salviae Miltiorrhizae)、当帰(Radix Angelicae Sinensis)を配合した伝統的な漢方処方薬である。 本レビューは、パラコート中毒の人に対するXuebijing注射の効果を評価することを目的とした。84例を対象とした2件の試験を同定した。Xuebijing注射による治療群の死亡はより少なかったが、パラコート中毒の人に対する全原因死亡率の低下に統計学的に有意な利益はメタアナリシスでは示されなかった。選択した研究はどちらも参加者数が少なく、方法論的な質も低いと考えられた。Xuebijing注射は、パラコート中毒の人に有効な可能性がある。ただし、さらに質の高いエビデンスで効果を裏づける必要がある。
2件の小規模RCTの所見に基づくと、Xuebijing注射はパラコート中毒の人に対する全原因死亡率の低下に統計学的に有意な利益をもたらさなかった。しかし、選択した研究はどちらも参加者数が少なく、方法論的な質も低いと考えられた。結果は不正確で、偶然に左右されやすい。Xuebijing注射は、パラコート中毒の人に有効な可能性がある。ただし、さらに質の高いエビデンスに裏付けられる必要がある。
現在、パラコート中毒に有効な治療はない。Xuebijing注射は、ベニバナ(Flos Carthami)、赤芍(Radix Paeoniae Rubra)、川芎(Rhizoma Chuanxiong)、丹参(Radix Salviae Miltiorrhizae)、当帰(Radix Angelicae Sinensis)を配合した伝統的な漢方処方薬である。 臨床経験では、Xuebijing注射によってパラコート中毒を管理できる可能性が示唆されているが、この治療の有効性についての結論は出ていない。
パラコート中毒の患者に対するXuebijing注射の効果を評価すること。
Cochrane Injuries Group’s Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL、「コクラン・ライブラリ」)、MEDLINE (OvidSP)、EMBASE (OvidSP)、CINAHL (EBSCO)、ISI Web of Science (Science Citation Index Expanded)、ISI Web of Science (Conference Proceedings Citation Index-Science)、Chinese bio-medical literature and retrieval system (CBM)、China National Knowledge Infrastructure Database (CNKI)、Traditional Chinese Medicine Databaseを検索した。検索は2013年5月29日に実施した。
Xuebijing注射と従来の治療の併用群と従来の治療単独群とを比較したすべてのランダム化比較試験(RCT)を選択した。
2~3名の著者が独立して研究を選択して、研究の質を評価し、データを抽出した。死亡率リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。追跡終了時の全原因死亡率に関するデータをメタアナリシスで要約した。
84例を対象とした2件の試験を同定した。Xuebijing注射による治療群の死亡はより少なかったが、コントロール群と比較してパラコート中毒の人の全原因死亡率を低下させる統計学的に有意な利益はメタアナリシスで示されなかった(RR 0.71、95%CI 0.48~1.04、P = 0.08)。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.10]
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