冬期うつ病に対する光線療法

このレビューの重要性は?

北半球の高緯度地域に住む多くの人々は、日光の減少に反応として起こる冬の憂うつに悩まされている。この疾患に罹患した人の4分の3は女性である。嗜眠、過食、炭水化物を過剰に欲しがること、抑うつ気分はよく見られる症状である。冬の憂うつがうつ病になり、日常生活に深刻な影響を受ける人もいる。最大で3分の2の人が毎年冬にうつ症状を経験する。

このレビューに関心がある人は?

冬期うつ病の経験がある人または冬期うつ病の経験がある親戚や友人がいる人。

このレビューでわかることは?

季節的なパターンと高い再発率を考慮すると、まだ抑うつ症状がない初秋に光線療法を開始することは、抑うつ気分の発症を予防するのに役立つ可能性がある。 本レビューの目的は、冬期うつ病の既往ある健常人に光線療法を使用する場合、冬のうつ病の発症を予防できるか、そして安全かどうかを確認することであった。これまで、この疑問はシステマティックに検討されてこなかったが、冬期うつ病の患者にとっては重要である。

このレビューで対象となる研究は?

2018年6月19日までのデータベースで、冬期うつ病を予防するための光線療法に関した試験を検索した。3745件の記録のうち、光線療法ありまたは治療なしの46例を対象としたランダム化比較試験を1件同定した。これらの試験では、すべての被験者に冬期うつ病の既往があった。

本レビューの科学的根拠(エビデンス)から明らかになることは?

すべてのアウトカムに対するエビデンスの質は非常に低かったため、光線療法が冬期うつ病の予防に効果的かどうか結論を出すことはできない。組み入れた試験では、光線療法の副作用に関する情報は得られなかった。

医師は予防的治療を検討している患者と、光線療法の利点と欠点、そして冬期うつ病を予防する可能性のある他の治療法(薬物療法、心理療法、生活習慣の介入など)について話し合う必要がある。これらの治療法を比較した試験はないため、治療の選択は患者の希望に強く基づいて行うべきである。

次に何が起こるのだろうか。

このレビュー著者らは、今後の試験で光線療法と他の治療法(薬物療法、心理療法、生活習慣の介入など)を直接比較して、冬期うつ病を予防するための最善の治療法を決定すべきであると推奨している。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2019.09.30]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD011269.pub3》

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