要点
- 学校やその職員は、支援する戦略が用いられた場合、生徒の健康的な食事、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための介入をより適切に実施することができる。
- 実施が支援されている学校ベースの介入は、生徒の健康的な食事、身体活動、肥満またはタバコの使用を改善する上で、わずかに効果が高い可能性がある。
- ほとんどの研究では、学校での介入策の実施を支援する戦略の経済的評価の報告や、考えられる有害作用の評価はなされていない。
知りたかったこと
生徒の食事、身体活動、不健康な体重増加、タバコやアルコールの使用に対処するための学校ベースの介入策の実施を支援するために、どのような戦略が有効であるかを知りたかった。また、費用対効果はあるのか、有害作用はないのか、などを知りたかった。戦略の例としては、品質向上のための方法、教育や訓練、学校の様子に関するフィードバック、注意書きや注意喚起、教育資源(マニュアルなど)などがある。
実施したこと
介入の実施を支援する戦略の使用したものとしていないものを比較した研究、あるいは2つ以上の異なる実施戦略を比較した研究について、以前に実施した検索を更新した。これらの研究は、生徒の栄養、身体活動、肥満、タバコやアルコールの使用に対処するための学校での介入策の実施を支援するための戦略について検討したものである。その結果を比較してまとめ、研究方法や規模などの要素に基づいて、エビデンスに対する信頼度を評価した。
わかったこと
前回の検索で特定されたものに加え、新たに11件の試験が見つかり、対象となった試験の総数は38件となった。その多くは米国で実施され、健康的な食事や身体活動の介入策を検討したものである。その結果、対照群と比較して、実施戦略の使用は、学校における介入の実施に大きな改善をもたらし、生徒の健康的な食事と身体活動にはわずかな改善をもたらす可能性があることがわかった。生徒の肥満にはほとんど影響がなかったと思われる。タバコの使用に対する実施戦略の効果は、非常に不確かである。介入実施支援戦略の使用による経済的利益や、学校、職員、生徒に対する潜在的な悪影響を評価した試験はほとんどない。
エビデンスの限界は?
実施戦略の使用によってプログラムの実施が大きく改善されることが示された。ただし、研究に使用された方法は、結果に誤差を生じさせ、含まれる研究間で一貫性がなく、主に一か国(米国)で実施されたものであった。その結果、実施支援戦略が学校における介入実施の改善や副次アウトカムの大部分に与える影響については信頼度が低い(バイアスのリスク、方法と結果のばらつきのため格下げした)。
このレビューの更新状況
2016年9月1日から2021年4月30日の間にデータベースを検索した。
《実施組織》 阪野正大、小林絵里子 翻訳 [2022.10.05]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011677.pub3》