経口摂取する脂肪を減らすことの体重に対する効果

食べ物に含まれる脂肪由来のエネルギーの理想的な比率および体重との関連は不明である。このレビューは、減量するつもりのない成人と小児における体重および肥満度に対する食物中の脂肪由来のエネルギー比率を減らす効果を調べた。このレビューは、食物中の脂肪の比率を減らすことが体重、肥満指数およびウエスト周囲径を少しではあるが注目に値する程度に減らすことを確認した。この効果は成人および小児において共に確認された。この効果は時間がたっても変わらなかった。

著者の結論: 

参加者が、通常あるいは中程度の減量するつもりのない脂肪摂取群と低脂肪摂取群との比較で無作為化された試験では、肥満度に対して低脂肪摂取の効果は一定で安定しているが小さいことが立証された:対照と比較して体重、BMIおよびウエスト周囲径が軽度減少した。脂肪の削減量を大きくしベースライン時の脂肪摂取量を減らすことは、体重がより減少することと関連があった。総脂肪の減少の効果は、小児、若年者あるいは成人の試験において総脂肪摂取量とそれに続く肥満度の指標または肥満度の変化との間の関連を評価したコホート試験に常に反映されたとは限らない。

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背景: 

一般の集団において過体重および肥満を予防するためには、一般集団における脂肪由来のエネルギー比率と結果としての体重および肥満度との間の関連を解明する必要がある。

目的: 

成人、小児および若年者を対象とした、すべての適切なランダム化比較試験(RCT)およびコホート研究を用いて、減量を目指していない人に注目し、体重および肥満度の指標(肥満症、ウエスト周囲径および肥満指数などの)に対する脂肪からのエネルギー摂取比率の影響を評価すること。

検索戦略: 

2014年3月までCENTRALを、2014年11月までMEDLINE, EMBASE および CINAHLを検索した。言語によって検索を制限しなかった。関連した参考文献もチェックした。

選択基準: 

試験は以下の基準を満たした:1)ランダム化介入試験、2) 24カ月以上の小児、若年者、成人を組み入れた、3)あらゆる参加者の体重を減らすための介入なしに、通常のまたは中程度の脂肪食群と比較した低脂肪食群に無作為化した、4)多因性ではない、5)少なくとも6カ月後体重あるいは肥満度の指標を評価した。ベースライン時、脂肪由来のエネルギー比率および少なくとも1年後の体重または肥満度との関連を評価した小児、若年者、および成人におけるコホート研究も含めた。選択決定を2回繰り返して、話し合いによって意見の違いを解決し、あるいは第三者に紹介した。

データ収集と分析: 

母集団、介入、対照および評価項目を2回ずつ抽出した。すべての利用できる測定時点で2回ずつ体重と肥満度の指標を抽出した。ランダム効果メタアナリシス、メタ回帰、サブグループ化、感度分析およびファンネルプロット解析を行った。

主な結果: 

32件のRCT(約54,000例の参加者)および25のコホートから得られたデータを組み入れた。食事中の脂肪由来のエネルギー比率を少なくすることによるわずかな体重減少効果に関する成人のRCTから得られた矛盾のないエビデンスが存在する;このことは組み入れられたほとんどすべての試験で見られ、感度分析のかなりの妨げになる。食事中の脂肪を減らすことの効果は、通常食と比べて平均1.5 kgの減量である(95%信頼区間(CI) -2.0~-1.1 kg)が、脂肪減少が多くなるとその結果体重減少も大きい。体重に対する効果の大きさは経時的には変わらず、肥満指数(BMI)の低下(-0.5 kg/m2, 95% CI -0.7~-0.3)、ウエスト周囲径(-0.3 cm, 95% CI -0.6~-0.02)に現れる。組み入れられた小児および成人におけるコホート試験は、大部分の場合総脂肪摂取量とその後の体重、肥満度あるいは肥満度の変化の指標とのいずれの関連も示唆していない。しかしながら、脂肪摂取量を減らすことは、高齢者ではなく中年の体重増加を少なくすること、そして最も有効な小児コホートのBMIの変化の増加を少なくすることに関連していた。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.15]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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