このレビューの目的

このコクランレビューの目的は、外来医療機関で働く医療提供者への多様な支払い方法の効果を評価することであった。レビュー著者らは、この質問に答える関連する全ての研究を収集し分析したが、27の研究を見つけた。

要点

このレビューは、多様な支払い方法が医療提供者の行動に良くも悪くも影響を与えることを示唆している。例えば、医療提供者が特定のサービスをさらに提供するよう促される一方で、不必要なサービスまで提供するようになるかもしれない。医療提供者への支払いがどのように医療サービス、医療提供者の士気や仕事量、そして患者の健康に影響を与えるかを理解することにかなりの隔たりが残っている。

本レビューからわかったこと

医療提供者は多様な方法で対価を支払われる。多様な支払い方法は、医療提供者が患者に最善かつ最も費用対効果のよい必要な治療を提供するように促すことができる。しかし、質の低い、高価な、不必要な医療を提供するように、そして特定の治療、或いは特定の患者を避けるように働きかけることもできる。多様な支払い方法はまた医療提供者の士気や仕事量に影響を与える。そして、医療システムにおいてより多くの或いはより少ない費用をかけることもできる。

レビュー著者らは、外来医療で働く医療提供者への多様な支払い方法の影響に関する研究を検索した。外来医療では、患者は病棟外で医療提供者から医療を受け、ベッドを必要としない。ヘルスケアセンター（訳注：総合医のいるクリニック）、家族計画センター、歯科医院などは全て外来機関の例である。

レビュー著者らが興味を持った支払い方法は下記の方法であった。

成果報酬型：医療提供者は行った特定の仕事や達した特定の目標によって支払われる。

サービス対価型：患者に提供したサービス毎に支払われる。

給料型：仕事を行なった時間に基づいて支払われる。

人頭割型：受け持ち患者数に基づいて支払われる。

これらの多様な支払い方法の混合型

本ビューの主な結果

レビュー著者らは、27の関連する研究を検索した。ほとんどの研究は高所得国におけるプライマリケア医を対象としていた。

成果報酬型プラス他の支払い方法（人頭割型、給料型、サービス対価型を含む）を他の支払い方法と比較した場合： 医療提供者は、予防接種を含む特定のサービスを多分より多く提供するだろう。薬剤がどのように使用されるかを含め、より良い質の医療も提供されるかも知れない。しかし、成果報酬型の支払いが終わるとこれらの改善は低下するかもしれない。患者の健康に対する効果は良し悪しがあるかもしれない。エビデンスがないか、非常に低い確実性のエビデンスのため医療提供者の士気や仕事量、あるいは費用への影響はよくわからない。

サービス対価型を他の支払い方法（人頭割型や給料型のような方法）と比較した場合： サービス対価型で支払われる医療提供者は、給料型で支払われる医療提供者よりも不必要なサービスを提供するかもしれない。医療の質や量、患者の健康、医療提供者の士気や仕事量、或いは費用への影響については、エビデンスがないか、非常に低い確実性のエビデンスのため、よくわからない。

サービス対価型と他の支払い方法（サービス対価型プラス人頭割型、サービス対価型プラス給料型を含む）が混合した方法を他の支払い方法と比較すると：医療提供者は特定のサービスをより多く提供するかもしれない。医療の質、患者の健康、医療提供者の士気や仕事量、費用への影響、或いは予期せぬ効果に関してはエビデンスがないか、非常に低い確実性のため、不明である。

高額な料金のサービス対価型と低額な料金のサービス対価型を比較すると：医療提供者は予防接種を含む特定のサービスを多分より多く提供する。非常に低度の確実性のエビデンスのため、高額な料金が費用に影響を与えるかどうかは不明である。医療の質、患者の健康、医療提供者の士気や仕事量への影響、あるいは予期せぬ効果はエビデンスがないため、分からない。

このレビューの更新状況

本レビューの著者らは、2019年3月5日までに出版された研究を検索した。