小児において経口レンゲソウ(Huang qi)は頻繁な急性呼吸器感染症を予防できるのか。

レビューの論点

14歳までの小児において急性呼吸器感染症(ARTI)の頻発を予防するために用いられる経口レンゲソウの有益性と有害性についてのエビデンスをダミー治療と比較して評価した。ARTIには、感冒、咽頭痛、喉頭炎、インフルエンザ、気管支炎および肺炎が含まれる。

背景

特に小児において、ARTIを予防するために多くの治療法は用いられる。レンゲソウは、ARTIを予防するのに役立つために中国では何千年の間用いられてきた、広く使用され市販されているハーブ療法である。それは免疫性を高めると考えられている。ほぼ5人に1人の小児が頻繁なARTIを経験し、治療は小児用に処方されたすべての抗菌薬の75%を占める。大部分のARTIはウイルスによって引き起こされるため、抗菌薬はこれらの疾患の治療に有効ではない。

検索日

2015年12月31日までの文献を検索した。

試験の特性

6080件の関連がある可能性のある記録を確認した。複写の記録、および選択基準に合致していなかった記録を除いた後、120件のフルテキストの試験を入手した。組み入れる可能性のあるこれらの試験を慎重に評価した。大部分の試験を除外した。なぜなら:それらは不明瞭な診断基準を示した;レンゲソウ製剤は他の薬剤と共に用いられた;あるいはレンゲソウはダミー治療と比較されなかった。いずれの試験も選択基準に合致しなかったため、いずれの結果も解析できなかった。

試験の資金提供元

試験の資金提供元を評価することができなかった。

主な結果

14歳までの小児におけるARTIの頻発を予防するために、経口レンゲソウの単独使用をダミー治療と比較した試験は確認されなかった。将来評価できるようにするため、十分デザインされ、管理され、そして報告された試験が必要である。

エビデンスの質

エビデンスの質を評価することができなかった。

著者の結論: 

14歳までの小児における頻繁なARTIを予防するために、唯一の介入として経口投与のレンゲソウの有効性と安全性を評価できるようにするためには、エビデンスが不十分であることを確認した。

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背景: 

急性呼吸器感染(ARTI)は通常小児で発症し、上気道と下気道に共に関連する。多くの小児は幼児期にARTIの頻発あるいは再発性呼吸器感染(RRTI)を経験する。それは小児科医、プライマリーケア医、両親および小児ケアスタッフにとって困難な問題となる。

中国では、レンゲソウ(Huang qi)は単独であるいは他のハーブと併用して、ARTIのリスクを低下させるために水抽出物の形で中医学(TCM)施術者によって使用される;免疫システムを刺激すると信じられている。レンゲソウの治療上のメカニズムをより詳しく解明することで、ARTI予防に関する見識を得ることができ、その結果抗菌薬使用量を減らすことになった。

目的: 

地域社会で小児の急性呼吸器感染症(ARTI)の頻発を予防するために、経口レンゲソウの有効性と安全性を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL、2015年12号)、MEDLINE (Ovid) (1946年から2015年12月31日まで)、Embase (Elsevier) (1974年から2015年12月31日まで)、AMED (Ovid) (1985年から2015年12月31日まで)、Chinese National Knowledge Infrastructure (CNKI) (1979年から2015年12月31日まで) およびChinese Scientific Journals full text database (CQVIP) (1989年から2015年12月31日まで)、China Biology Medicine disc (CBM 1976年から2015年12月31日まで) および Wanfang Data Knowledge Service Platform (WanFang) (1998年から2015年12月31日まで)を検索した。

選択基準: 

小児においてARTIの頻発を予防するために、唯一の生薬製剤として経口レンゲソウをプラセボと比較したランダム化比較試験(RCT)を組み入れた。

データ収集と分析: 

このレビューのために標準的なコクランの方法論的手順を用いた。関連のある試験を確認するために検索結果を評価した。標準化形式を用いてデータを抽出する予定であった。意見の相違は話し合いを通して解決した。バイアスのリスクはコクランの「バイアスのリスク」ツールを用いて評価されるべきである。連続データについては平均差(MD)あるいは標準化平均差(SMD)、および二分したデータを解析するために、リスク比(RR)あるいはオッズ比(OR)を、そして共に95%信頼区間(CI)を用いる予定であった。

主な結果: 

6080件の記録を確認した:最初のスクリーニングおよび重複排除の後、評価のために120件のフルテキストの論文を入手した。これらのうち、21件はRCTではなく、55件は選択基準に合致していなかった。というのは、参加者が14歳を超える年齢であったこと;症状の再発または頻発に関する定義が含まれなかったこと;レンゲソウ製剤が介入ではなかったこと;レンゲソウ製剤が処方に記載されているが単剤ではなかったこと;レンゲソウ製剤は経口投与されなかったこと;あるいはレンゲソウはARTIの予防というよりむしろ治療に用いられたことによる。プラセボ対照試験ではないためさらに44件の試験が除外された。一方他の選択基準は満たした。

いずれのRCTも選択基準に合致しなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.15]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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