レビューの論点プレバイオティクスは、ビリルビン値の上昇により黄疸を発症する新生児の高ビリルビン血症を予防するか?
背景:黄疸は、生後数日の間に新生児のおよそ3分の2に起こる。一般的には新生児黄疸の管理には、光線療法が用いられている。光線療法は重篤な副作用を引き起こさないとされるが、最近の臨床試験では、動物または細胞培養を用いた研究に基づいて、DNAへのダメージの可能性が懸念が提起されてきている。従って、新生児黄疸に対し他の治療が考慮されている。プレバイオティクスの経腸栄養法が、新生児の黄疸を減少することを示唆するエビデンスもある。
研究の特性プレバイオティクスの経腸栄養法とプラセボ(蒸留水など)とを比較した3件の小規模研究(乳児154例)を対象とした。本エビデンスは2018年6月14日時点のものである。
主要な結果新生児のプレバイオティクスの効果を評価するには、科学的根拠(エビデンス)は不十分であった。利用可能なデータによると、新生児高ビリルビン血症の発症率(エビデンスの質は低い)と光線療法の必要性(エビデンスの質は低い)は、プレバイオティクスの経腸栄養法により減少したが、このアウトカムを報告したのは小規模の研究1件のみであった。
これらの小規模研究のメタアナリシスでは、プラセボと比較してプレバイオティクスの経腸栄養療法を受けた乳児において、入院期間の有意な短縮(エビデンスの質は低い)、排便回数の有意な増加(エビデンスの質は高い)が示された。さらにメタアナリシスでは、血漿ビリルビン値の最高値(エビデンスの質は低い)、光線療法の治療期間(エビデンスの質は低い)、新生児死亡(エビデンスの質は低い)に関して、群間の有意差は示されなかった。本レビューでは、プレバイオティクスとプラセボを比較したランダム化臨床試験が3件しか同定できなかった。今後もさらなる研究が必要である。
《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2020.12.28] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD012731.pub2》