レビューの論点
早産児において、横隔膜の動きをトリガーとした非侵襲的呼吸サポートは、他の非侵襲的呼吸サポートと比較して、呼吸不全を予防するか?
背景
横隔膜をトリガーとした非侵襲的な呼吸サポートは、呼吸筋からの電気信号を利用して、乳児が呼吸をしようとするタイミングを導き出す。これにより、乳児の呼吸に合わせて、また呼吸の強さに合わせてサポートすることができる。また、乳児が気管内挿管による侵襲的な呼吸サポートを回避できる可能性がある。早産児の転帰に有益な効果があるかどうかは、現在のところ不明である。
研究の特徴
2019年5月10日までの医療データベースの検索により、乳児における横隔膜トリガー式非侵襲的呼吸サポートの効果を評価した15件の研究を同定した。この15件のうち、2件の研究(合計23名の早産児を対象)をレビューに含めることができた。10件の研究は、結果の公表を待っているか、進行中の研究であった。
主な結果
横隔膜をトリガーとした非侵襲的呼吸サポートが重要な結果(評価項目)に及ぼす影響については、ランダム化比較試験によるデータが限られている。レビューに含めることができたのは、2件の小規模なランダム化比較試験のみだった。どちらの研究も、乳幼児が一つの呼吸サポートからもう一つの呼吸サポートに切り替えて、呼吸パターンの短期的な変化に注目したものである。
エビデンスの質
今回のレビューでは、データが限られており、エビデンスの質が非常に低いため、意味のある結論を出すことができなかった。横隔膜の動きをトリガーとした非侵襲的呼吸サポートが呼吸不全を予防できるかどうかを判断するには、大規模で質の高い研究が必要である。
《実施組織》 小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2021.07.01]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012935.pub2》