精神病とは何か？

精神病は心に影響を与える状態を表し、精神病の人々は何が現実であり、何が現実でないかを区別するのに苦労している。これには、他人には見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりすること（幻覚）や、真実ではないものを信じること（妄想）が含まれている場合がある。幻覚と妄想が重なることで、深刻な苦悩が生じ、行動を変化させる。初回エピソード精神病とは、初めて精神病のエピソードを体験することである。最近発症した精神病とは、初めて精神病を体験してから2, 3年間のことである。

精神病は治療可能である

多くの人は、最初のエピソードから回復して再び精神病エピソードを経験することはない。

精神保健専門家は、特定の治療法を勧める前に対象者を評価する。利用できるサービスによっては、治療のために対象者を以下のチームに紹介することがある:

- 地域精神保健チーム：複雑な精神保健状態の人々をサポートする精神保健の専門家;

- 危機解決チーム：一方で病院での治療を必要とする人々を治療する精神保健の専門家; または

- 早期介入チーム：現在、または最近精神病の初回エピソードを経験した人々を治療する精神保健の専門家。

早期介入チームは、最近発症した精神病の治療を専門としており、できるだけ速く集中的に治療することを目指している。

コクラン・レビューを行った理由

私たちは、最近発症した精神病の治療を専門としていない外来や地域の精神保健チームよりも、早期介入専門家チームの方が最近発症精神病治療により多く成功しているかどうかを調べたいと考えた。

実施したこと

最近発症した精神病を治療するために早期介入チームの活用を、標準的な地域精神保健医療と比較検討した研究を検索した。

我々は、受ける治療が無作為に決定されたランダム化比較研究を探した。この種の研究は通常、治療効果について最も信頼性の高いエビデンスを与える。

治療の終了時点で以下のことを知りたかった:

- 何人が回復したのか;

- 何人の人が治療を極端に早期に止めてしまったのか;

- 何人が精神科病院に入院したのか、どのくらいの期間入院していたのか;

- 一般的な精神保健と精神機能の状態（日常生活でどれだけ上手く対処できたか）;

- 何人の人が死亡したのか。

検索日： 2019年10月22日までに公開されたエビデンスを含めた。

わかったこと

最近発症した精神病の1145人（男性65％、平均年齢23から26歳）を対象とした4つの研究を見つけた。これらの研究では、専門家早期介入チームによる治療と「通常の治療」（地域保健や外来精神保健チームによる治療）を比較した。

これらの研究は、以下の高所得国の地域精神保健サービスで行われた:デンマーク、スウェーデン、イギリス、アメリカ。研究は18ヶ月から24ヶ月間行われた。

レビューの結果

通常の治療と比較して、早期介入チームによる治療は:

-より多くの人が精神病から回復するのを助けるかも知れない（2件の研究；194人対象）;

- おそらく多くの人が治療を極端に早期に止めてしまうことを減らすことができるだろう（3件の研究；630人対象）;

- 精神科病院への入院数を減らす可能性がある（4件の研究；1145人対象)

- 精神科病院での滞在時間を短縮する可能性がある（1研究；547人対象）；そして

- 人々の一般的な精神機能を中等度に改善する可能性がある（2件の研究；467人対象）。

早期介入チームによる治療が一般的な精神病症状に影響を与えるかどうか（2件の研究；304人対象）、あるいは死亡数に影響を与えるかどうか（3件の研究；741人対象）については不明であった。

結果の信頼性

早期介入チームによる治療は、おそらく治療を極端に早く止める人の数を減らすことができると中程度に確信しているが、より多くのエビデンスが得られれば、この結果は変わるかもしれない。

精神病から回復する人がどれだけいるのか、精神科病院に入院する人がどれだけいるのか、入院期間はどれくらいなのか、一般的な精神機能の改善はどれくらいなのか、ということについてはあまり確信が得られなかった。これらの結果は、より多くのエビデンスが得られると変化する可能性がある。

要点

専門家早期介入チームを活用して最近発症した精神病治療を行うことで、治療を継続する人が増え、回復する人が増えるなどのメリットがありそうである。